○古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例

平成28年12月22日

条例第13号

向日市は、かつて我が国の都「長岡京」が置かれ、先人たちによつて古代から連綿と歴史・文化が受け継がれてきた魅力あふれるまちです。「誰もがいきいきと共に暮らせるぬくもりのあるまち」を目指しており、これまでも多くの市民が手話やろう者の暮らしについて学び続けています。

手話は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において、「言語」の中に位置付けられています。「言語」とは、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で必要不可欠なものであり、人類の発展にも大きく寄与するものです。手話は、身振りに意識的な工夫を加えて表現するものであり、手指だけでなく、視線、表情、身体からだの向きなども駆使して視覚的に表現する「言語」です。

手話の誕生は、この京都の地であり、明治11年に耳の聞こえない子どもたちに対する全国初の教育機関「京都盲唖院(現京都府立ろう学校)」の創立がきつかけでした。その後も、入学する生徒は増え、コミュニティが形成され、共通言語として手話は更に発達してきました。

しかし、発声や相手の唇の動きから話の内容を読み取る口話法が欧米から伝えられ、国において取り入れられたことにより、多くのろう学校で自由に手話を使うことができなくなりました。そのような状況下であつても、ろう者にとつて手話は「いのち」と位置付けられ、大切に育み、守り育てられてきた歴史があります。

現在においては、手話への理解が広がりつつあるものの、市民が手話と接する機会は限られており、ろう者だけではなく聞こえる人たちも、コミュニケーションを図りたいという思いがありながらも意思疎通の方法が分からず、もどかしい思いにかられることがあります。

ここに、手話が「言語」であるとの認識に基づき、手話に対する理解が更に広がるよう環境を整えることにより、全ての人々がお互いを尊重し、分かり合い、心豊かに安心して暮らすことができるふるさと向日市を目指し、この条例を制定するものです。

(目的)

第1条 この条例は、市民の手話への理解の促進と手話の普及を促進するために、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、市が実施する施策の基本的事項を定めることにより、聴覚障がいの有無に関わらず、安心して暮らし続けられる共生社会の実現を目指すことを目的とする。

(基本理念)

第2条 市及び市民は、手話が言語であることの認識に基づき、手話に対する理解の促進と手話の普及を図り、手話によるコミュニケーションを図りやすい環境を構築するものとする。

2 全ての市民が、手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。

(市の責務)

第3条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、市民があらゆる場面で手話による意思疎通ができる環境を整備するため、必要な施策を推進するものとする。

(市民の役割)

第4条 市民は、基本理念に対する理解を深め、地域社会で共に暮らす一員として、誰もが安心・安全・健康に暮らすことのできる環境の実現に寄与するよう努めるものとする。

2 ろう者は、市の施策に協力するとともに、手話の意義及び基本理念に対する理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、ろう者にとつても利用しやすいサービスを提供することにより、全ての市民が利用しやすい社会を実現できるよう努めるものとする。

(施策の策定及び推進)

第6条 市は、次の各号に掲げる施策を定め、総合的かつ計画的に実施するものとする。

(1) 手話に対する理解の促進と手話の普及を図るための施策

(2) 手話による情報の取得及び手話を使いやすい環境づくりに関する施策

(3) 手話による意思疎通支援を通じた、ろう者の社会参加拡充に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項

2 市は、前項に規定する施策を推進するため、施策の推進方針を策定するものとする。

(財政措置)

第7条 市は、手話に関する施策を積極的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

附 則

この条例は、平成29年3月3日から施行する。

古都のむこう、ふれあい深める手話言語条例

平成28年12月22日 条例第13号

(平成29年3月3日施行)