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第16回中学生弁論大会:受賞者一覧・弁論内容

更新日:2019年11月27日

受賞者一覧

 
学校名 氏名
市長賞 西ノ岡中学校 伊東 凜乃
教育長賞 勝山中学校 岡田 心温
優秀賞 西ノ岡中学校 青山 和音

 

弁論内容

「わたしのおばあちゃん」 伊東 凜乃(西ノ岡中学校)

伊東凜乃さんがスピーチする様子

  「ばあば来たよー。」
 声をかけるとにっこり笑ってくれるおばあちゃん。その顔を見るとホッとします。
 夏休みに冬休み、長い休みには必ずおばあちゃんに会いに行きます。…でも、本当は会うのが少し辛いです。
 なぜなら、公園で私たちと元気に走り回ったり、たくさん笑わせてくれたりしていた昔のおばあちゃんではないからです。私のおばあちゃんはアルツハイマー型認知症です。
 それは、脳の細胞が少しずつ縮んでいき、物を覚えたり、考えたり、そのうち体を動かすことも難しくなる病気です。
 病院で診断されたのは11年前、66歳の時でした。少し前までは一緒に旅行に行ったりもしていたのですが、今では一人で暮らすのが難しくなり、グループホームで暮らしています。
 私が小さい頃、母からは
 「ばあばは忘れん坊の病気だよ。」
と聞かされていました。そのうち認知症という言葉を知り、おばあちゃんは認知症なんだと思うようになりました。
 旅行に行った時は、
 「ばあば行くよー。」
と、私はいつもおばあちゃんと手をつないで歩きました。おばあちゃんが不安になったり、迷子になったりしないようにするためです。ある日、学校で友達と話をしている時に、私が時間を間違えたり、日付を間違えたりしたら、
 「認知症やん。」
と笑いながら言われたことがあります。軽いけどその一言が私の胸にはグサリと刺さりました。
 「冗談で言ってほしくなかった…。」
と思ったのです。
 日本では、今、65歳以上の7人に1人が認知症と診断され、5年後には5人に1人が認知症になると言われています。認知症は私達にとっても身近なことで、周りにいる大切な人がいつなってもおかしくない。そう理解しているつもりでも、会いに行くたびに、(どうしたらいいんだろう)と混乱している自分がいます。
 本当は、もとにもどってほしい。一緒に遊んでほしいし、家にも泊まりに来てほしい。たくさんおしゃべりして大笑いしたい。でも、それはなかなか難しい…。
 認知症は進行を遅らせることはできても、治すことは難しいから…。
 おばあちゃんの近くで暮らす伯母は、病院の先生に、
 「脳の状態は深刻ですが、お母さんはギリギリまで話したり、歩いたりしてよく頑張っていますよ。」
と言われたそうです。ずっと近くで寄り添ってきたので、その言葉に救われたと話してくれました。そして、「今でもできないことがどんどん増えてきているけれど、このままずっと寄り沿っていきたい。」とも言っていました。寄り添うことで学ぶことがたくさんあり、とても感謝していると話しくれました。
 私は、おばあちゃんが大好きです。そして、一緒に過ごした楽しい思い出を絶対忘れないし、これからもたくさん会いに行きたいと思っています。いつまでもばあばの笑顔が見たいです。
 認知症は、そばにいる人がいつなってもおかしくありません。そんな時に寄り添う、何もできないかもしれないけれど…。そっと寄り添える人が一人でも増えたらいいなと思います。そのために自分ができることをやっていきたいです。
 

「『命』一杯の水をみつめて」 岡田 心温(勝山中学校)

岡田心温さんがスピーチする様子

 紙コップに入った一杯の水。
 8月6日、広島平和記念式典に参列する人々に配られた水。
「私が飲みたかった水をあなたにあげます」という言葉を添えて。
 非常に衝撃的な言葉でした。目から熱いものを感じながら、灼熱の太陽に照らされ、熱くなった一杯の水を飲み干しました。今まで飲んだ水の中で、こんなにもありがたく感じたことは、ありませんでした。自分の口へと運ぶ水でしたが、自分自身を通し、あの時飲みたくても飲めなかった方々へ届ける気持ちで飲んでいたのを思いだします。
 四年前、戦後70年の節目の年、私は向日市役所の方と一緒に、広島平和記念式典に出席し、平和記念資料館へも足を運びました。そこで、見た光景が今でも目に焼き付いています。被爆した方の人影が焼き付いた壁や焼けただれた人々の像など「死」というものをリアルに感じる空間でした。「死」というものがどんなものか、考えさせられるものばかりでした。
 人間にはいつか必ず死が訪れます。しかし、私たちはその時がいつ来るのか分からないのです。もしかしたら明日に自分の命が不意になくなるかもしれません。当時の広島にいた人達も、明日が当たり前に訪れ、日常の生活が送れると思っていたにちがいありません。しかし、「明日」という日は訪れませんでした。
 今、私たちの周りには、数多くの核兵器が存在します。いつ飛んでくるかわからないミサイルに囲まれ、死と隣り合わせに生きているにもかかわらず、その危険に気づかず、油断し、自分自身の問題として考えることが出来ていません。たった一つのボタンで、世界が失われるとも知らずに。あの時、広島にいた人達と同じように。
 広島に行って「死」をリアルに感じた私は、今自分が「生きている」ことが、当たり前ではないことに気がつきました。死と隣り合わせの命。限りある命だからこそ、一分、一秒を大切に、生きていこうと決意しました。そのためには、平和な世界が必要です。
 二度と、広島の悲劇を繰り返さないこと。戦争をしないのではなく、させない日本でありたい。これからの日本を作るのは、私たちです。平和な世界は、私一人では作ることができません。多くの人と、同じ思いを持ち、作り上げていくのだと私は考えます。
 あの時、広島で飲んだ、一杯の水。その味と、温かさは今も記憶に残っています。その水を飲むことで、私は、「HIROSHIMAの思い」を受け継ぎました。生きたくても生きられなかった人達の分まで、みなさんも、今ここにある「命の花」「希望の花」を、自分のため、人のため、世界のために輝かせませんか。

「いじめは犯罪」 青山 和音(西ノ岡中学校)

青山和音さんがスピーチする様子

 皆さんは「いじめ」って何、と深く考えたことはありますか。
 私は今まであまり深く考えたことがありませんでした。けれども、学校でいじめについての話や学習をして考えるようになりました。
 私は、いじめは暴力、暴言、危険な目にあわせるなど、そういったイメージを持っています。
 その時に、「これって犯罪にならないのかな。」と思い、調べてみました。
 「暴力」は、暴行罪・傷害罪などにあたり、「暴言」は、侮辱罪・名誉棄損罪などにあたりそうです。他にも「いじめ」にはいろんな犯罪になってしまうことがありそうです。
 やはり、「いじめ」は犯罪だと理解しました。
 以前、学校で非行防止教室がありました。その時、警察から来られた講師の方が「犯罪をおかすと、十四歳から処罰されることがあります。皆さんは、犯罪をおかせば処罰されることもあるので、自分の行動には責任を持ってください。」と話されたことを思い出しました。私達はこれから、自分の行動には自分で責任をとらないといけない年齢になります。「未成年だから許される。」ということはありません。
 では、なぜ「いじめ」がなくならないのか。それは、「いじめ」の境界線が見えにくいから。普段の生活の中で冗談を言いあったり、相手がいやがることをしてしまったりすることもあります。そして、どこからが「いじめ」でどこからが「いじめ」でないのかがわかっていない。やっている本人もそれがいじめだと気づけていない。いじめられた側が心を痛めていても、相手がそれをわかっていないことがいじめをエスカレートさせていく原因ではないでしょうか。
 「いじめ」は犯罪、そうみんなが認識していくことは「いじめ」をなくしていく一歩になると考えます。
 それでも「いじめ」は簡単にはなくならない。まずは自分たちができるところから取り組んでいくのがいいと考えます。
 それは、コミュニケーション。普段から周りのみんなとコミュニケーションをとることでちょっとした変化にも気づくことができるはずです。
 表情や行動は当然ですが、言葉のひとつひとつに気をつかえば、友達の命の危険にも気づくことができるはずです。
 「いじめ」の被害は一人で抱え込むことで周りにも見えにくくなります。そして、その心の傷の大きさにも気づけなくなります。けれども、誰か一人でもその異変に気付けば、いろんなことができるはずです。
 「どうしたの」、「大丈夫」、「一緒にやろう」と、救える言葉をたくさんかけられるはずです。
 そして、何か気になることがあれば、みんなで話し合う機会を持つこと。「いじめ」のきっかけは誤解やコミュニケーション不足もあります。
 だから、普段から話し合える雰囲気をつくり、何か気になることがあれば、ほんのささいなことでも話し合えるようにしていきたいと考えます。
 「いじめは犯罪。」、その重みを理解して自分ができることを少しずつでもやっていき、「いじめ」で悩んだり、苦しんだりする人をなくしていきたいと思いました。
 そして、「いじめ」を決して他人事にせず、みんなの問題として捉えてほしい。自分にも自分の周りにも起きる、ということを認識する。それが、いじめをなくしていくと考えます。

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