○向日市消防団員の訓練及び礼式に関する規則

昭和47年9月30日

規則第24号

目次

第1編 総則(第1条~第7条)

第2編 訓練

第1章 総則(第8条~第10条)

第2章 徒歩訓練

第1節 各個訓練

第1款 通則(第11条~第13条)

第2款 停止間の動作(第14条~第18条)

第3款 行進間の動作(第19条~第33条)

第2節 部隊訓練

第1款 通則(第34条~第42条)

第2款 小隊訓練

第1目 編成および隊形(第43条~第47条)

第2目 整とん(第48条~第51条)

第3目 右(左)向きおよび後ろ向き(第52条・第53条)

第4目 行進(第54条~第60条)

第5目 方向変換、隊形変換等(第61条~第66条)

第3款 中隊訓練

第1目 編成および隊形(第67条~第75条)

第2目 整とん(第76条~第78条)

第3目 右(左)向きおよび後ろ向き(第79条~第83条)

第4目 行進(第84条~第90条)

第5目 方向変換、隊形変換等(第91条~第98条)

第4款 大隊訓練

第1目 隊形(第99条・第100条)

第2目 整とん等(第101条)

第3章 車両操練

第1節 通則(第102条~第106条)

第2節 単車操練

第1款 通則(第107条~第109条)

第2款 定位および姿勢(第110条~第112条)

第3款 停止間の動作(第113条~第116条)

第4款 運動(第117条~第123条)

第3節 車両部隊操練

第1款 通則(第124条~第128条)

第2款 隊形(第129条~第132条)

第3款 集合、整とん、行進および停止(第133条~第136条)

第4章 操法訓練(第137条~第140条)

第3編 礼式

第1章 総則(第141条~第143条)

第2章 敬礼

第1節 通則(第144条~第147条)

第2節 各個の敬礼

第1款 通則(第148条~第157条)

第2款 着帽時の敬礼(第158条~第160条)

第3款 脱帽時の敬礼(第161条~第164条)

第3節 部隊の敬礼

第1款 通則(第165条~第171条)

第2款 行進間の敬礼(第172条~第175条)

第3款 停止間の敬礼(第176条~第179条)

第4款 着帽時の敬礼(第180条~第182条)

第5款 脱帽時の敬礼(第183条~第185条)

第4節 旗の敬礼(第186条~第188条)

第5節 その他(第189条~第193条)

第3章 儀式

第1節 通則(第194条・第195条)

第2節 観閲式(第196条~第205条)

第3節 その他の儀式(第206条)

第4編 点検

第1章 点検

第1節 通則(第207条~第214条)

第2節 通常点検

第1款 訓練および礼式(第215条~第217条)

第2款 機械器具(第218条)

第3節 特別点検

第1款 通則(第219条・第220条)

第2款 訓練(第221条・第222条)

第3款 礼式(第223条・第226条)

第4款 施設および防ぎよ演習(第227条)

第5款 機械器具(第228条・第229条)

第6款 備品および貸与物品(第230条・第232条)

第4節 現場点検(第233条・第234条)

附則

第1編 総則

(趣旨)

第1条 この規則は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第23条第2項の規定に基づき、向日市消防団員(以下「隊員」という。)の訓練及び礼式について必要な事項を定めるものとする。

(訓練の目的)

第2条 訓練の目的は、隊員を諸制式に熟練させ、その部隊行動を確実軽快にし、厳正な規律を身につけさせ、消防諸般の要求に適応させるための基礎を作ることにある。

(礼式の目的)

第3条 礼式の目的は、礼節を明らかにして規律を正し、隊員の品位の向上を図るとともに、和衷協同して隊員の団結をきよう固にし、もつて消防活動に際し、有効適切な措置をとらせることにある。

(点検の目的)

第4条 点検の目的は、隊員の職務遂行に必要な諸般の状況を検査し、その不備の点は、これを整備または反覆訓練の上是正し、もつて消防一体の実をあげることにある。

(用語および符号の意義)

第5条 この規則において使用する用語の意義は、次のとおりとする。

(1) 「単位」とは、部隊の一部を形成する個人または部隊をいう。

(2) 「距離」とは、同一線上に縦に並んだ単位間の間げきをいう。隊員間の距離は、前の者のかかとから後の者のかかとまでを測る。車両の距離は、前方の車の後端から後方の車の前端までを測る。

(3) 「間隔」とは、同一線上に横に並んだ単位間の間げきをいう。隊員間の間隔は、右方の隊員の左肩から左側の隊員の右肩までを測る。特に間隔を指定した場合は、右方の隊員の両かかとの中心線から左側の隊員の両かかとの中心線までを測る。車両の間隔は、横に並んでいる車両と車両の間を測る。

(4) 「歩調」とは、1分間に行進する速度をいう。

(5) 「乗車員」とは、車両に乗務する指揮者、分隊長、運転員、その他の隊員をいう。

(6) 「上長」とは、上級階級にある者、指揮監督の職権をもつ者および現に指揮または監督の任務を行なう者をいう。

(7) 「室内」とは、居室、事務室、講堂、食堂および休憩室等の内部をいい、「室外」とは、屋外、廊下、通路、車両内、屋内訓練場、望楼、機械置場および短艇内等をいう。

2 この規則において表示する図に用いる符号の意義は、別表第1のとおりとする。

(号令、命令および指示)

第6条 号令、命令および指示は、次の各号に掲げるところによる。

(1) 号令、命令および指示は、厳正な態度で明確に示し、その徹底を期すものとする。

(2) 号令は、通常号令と動令とからなり、号令は明りように長く、動令は活ぱつに短く発声し、その間に適当な間を置くものとする。

(3) 指揮者が命令、指示を与え、または号令をかけるときは、通常部隊に面して行なう。

(4) 下級部隊の長は、号令を受けたとき必要に応じ、更に補足号令を用い、または低声をもつて指示を与えることができる。

(5) 行進間の号令は、原則として左足が地につくとき動令をかける。

(信号)

第7条 口頭の号令でふじゆうぶんな場合は、部隊を指揮するため、別表第2に掲げる信号を用いることができる。

第2編 訓練

第1章 総則

(訓練の主眼)

第8条 訓練の主眼は、次の各号に掲げるところによる。

(1) 個人の規律心のかん養、確実軽快な動作および厳正な態度の鍛練

(2) 指導者としての指揮能力および教育能力の養成

(3) 団結力、規律および士気並びに協同動作のかん養

(4) 車両および機械器具の活用、愛護および整備

(計画および実施上の留意事項)

第9条 訓練の計画および実施上留意すべき事項は、次の各号に掲げるところによる。

(1) 訓練を行なうには、目的を確立し、計画および実施をこれに合わせ、最大の効果をあげるよう反復訓練すること。

(2) 訓練は、災害防ぎよのための基礎を作ることに留意し、順序正しく正確軽快に行なうこと。

(3) 訓練にあたつては、隊員に対し当該訓練の目的および精神を理解させ、各人に進んで訓練に参加させるように努めること。

(4) 徒歩訓練は、各個訓練から始め、逐次分隊、小隊等大きな部隊の訓練に移ること。

(5) 車両をもつて行なう操練は、操縦、整備等の個々の操練を行ない、その進度に伴い単車、小隊、中隊等大きな部隊の操練に移ること。

(指揮者)

第10条 指揮者は、特に服装、姿勢、態度を端正にし、号令を明快にし、かつ適切な説明を行なうとともに、自ら模範を示すものとする。

2 指揮者は、訓練の目的および必要度を判別して訓練の重点を明らかにし、その徹底を期さなければならない。

3 指揮者は、この規則に規定するもののほか、みだりに細密な規定を設けて、その内容を複雑にしてはならない。

第2章 徒歩訓練

第1節 各個訓練

第1款 通則

(目的)

第11条 各個訓練の目的は、個人を鍛練し、部隊訓練の基礎を作ることにある。

(主眼)

第12条 各個訓練の主眼は、規律心を養い、確実軽快な動作に習熟させ、厳正な態度を身につけさせることにある。

(各個訓練の留意事項)

第13条 各個訓練の実施上留意すべき事項は、次の各号に掲げるところによる。

(1) 基礎動作を重視すること。

(2) 主要な動作は反復訓練し、熟練の域にまで到達させること。

(3) 部隊訓練との連係に常に留意し、かつ、部隊訓練実施の段階においても機会を求めて、反復訓練すること。

(4) 個癖是正に努めること。

(5) 諸動作教育の初期段階においては、一挙動ごとに区切つて教育すること。

第2款 停止間の動作

(基本の姿勢)

第14条 基本の姿勢は、隊員の基本の姿勢で、端正にして、しかも気力が充実し、いかなる号令にも直ちに応じ得られるものでなければならない。

2 基本の姿勢をとらせるには、「気をつけ」の号令をかける。

3 隊員は、前項の号令で両かかとを同一線上にそろえてつけ、両足先はおおむね60度に開いてひとしく外に向け、ひざはまつすぐに伸ばし、上体を腰の上におちつけ、胸を張り、肩をやや後に引き一様にこれを下げ、腕は自然にたれ、たなごころをももにつけ、指を伸ばして並べ、中指をおおむねズボンの縫目にあて、あごを引き、頭と首をまつすぐに保ち、口を閉じ、前方を直視する。

(休めの姿勢)

第15条 休めの姿勢は、「整列―休め」および「休め」の二とおりとし、休めの姿勢をとらせるには、「整列―休め」または「休め」の号令をかける。

2 隊員は、「整列―休め」の号令で、左足をおおむね半歩左へ活発に開き、ひざを軽く伸ばし、体重を左右の足に平均にかける。同時に、手は、後ろでズボンのバンドの上に組む。この際、手のひらは後ろに向けて開き、左手の親指と四指を軽く握る。この姿勢では、話をしたり動いてはならない。

3 隊員は、「休め」の号令で、まず「整列―休め」の姿勢をとり、その後は足を動かしたり、手をたれてもよいが、片足は常にもとの位置におき、許可なく話をしてはならない。

(右(左)向け)

第16条 (左)向けをさせるには「右(左)向け―右(左)」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で左(右)かかとと右(左)つまさきをわずかに上げ、左(右)足の親指付根のふくらみに力を加え、右(左)かかとで右(左)へ90度まわる。ついで左(右)足を活発に右(左)足へ引きつける。

(半ば右(左)向け)

第17条 半ば右(左)向けをさせるには、「半ば右(左)向け―右(左)」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で、右(左)向けの要領に準じて体の方向を45度変える。45度以外の方向変換の場合は、目標を示したのち号令をかける。

(後ろ向き)

第18条 後ろ向きをさせるには、「まわれ―右」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で、体重が前に残らぬように右足先をわずかに左かかとから離れるよう後方に引き、両かかとを軸にして180度右にまわり、右かかとを活発に左かかとに引きつける。

第3款 行進間の動作

(速足行進)

第19条 速足行進の歩の長さは、かかとからかかとまでおおむね0.7メートルとし、その速度は1分間におおむね120歩とする。

2 速足行進をさせるには、「前へ―進め」の号令をかける。

3 隊員は、前項の予令で、体重をわずかに前に移し、動令で左足から前進する。この場合、腕は前後に自然にふり、頭を起して歩行しなければならない。

(速足行進の停止)

第20条 速足行進を停止させるには、「速足―止まれ」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で、さらに一歩踏み出し、次の足を引きつけて停止する。

(右(左)向け発進)

第21条 停止間から行進を起すと同時に、右(左)へ方向変換させるには、「右(左)向け前へ―進め」の号令をかける。所望の方向または目標に向つて発進させる場合は、方向目標を示したのち、号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で右に発進する場合は左足先を内にしておおむね半歩踏み出し、ついで右足を新行進方向に踏み出す。左に発進する場合は、左足を一歩前方に踏み出し、次に第二歩目(右足)を足先を内にしておおむね半歩踏み出し、左足を新行進方向に踏み出し行進する。

(行進中の右(左)向け)

第22条 行進中に右(左)へ方向を変換させるには、「右(左)向け前へ―進め」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で、前条第2項の要領により動作する。

(右(左)向け停止)

第23条 行進中停止と同時に右(左)に向かせるときは、「右(左)向け―止れ」の号令をかける。所望の方向に向つて停止させる場合は、方向または目標を示したのち号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で左(右)足先を新方向に向けて、おおむね半歩前に踏み出し、ついで右(左)足を引きつけて停止する。

(斜行進)

第24条 行進中に斜行進させるには、「斜めに右(左)へ―進め」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で、左(右)足先を内にしておおむね半歩踏み出し、体を半ば右(左)の方向に向け、次の右(左)足を新行進方向に踏み出し行進する。

(行進中の後ろ向き)

第25条 行進中後ろ向きをさせるには、「まわれ―右前へ―進め」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で、左足先を内にしておおむね半歩前に踏み出し、両足の親指付根のふくらみを軸に180度右にまわり、直ちに左足を踏み出し行進する。

(駆け足行進)

第26条 駆け足行進の歩の長さは、かかとからかかとまでおおむね0.8メートルとし、その速度は1分間におおむね180歩とする。

2 駆け足行進をさせるには、「駆け足―進め」の号令をかける。

3 停止間から駆け足をするときは、隊員は前項の予令で両手を握り、甲を外にして腰に上げ体重をわずかに前へ移し、動令で左足から踏み出し、腕を前後に自然にふる。

(速足行進から駆け足行進への移行)

第27条 速足行進から駆け足行進をさせるには、「駆け足―進め」の号令をかける。

2 隊員は、前項の予令で両手を腰に上げ、動令でそのまま1歩踏み出したのち駆け足に移る。

(駆け足行進から速足行進への移行)

第28条 駆け足行進から速足行進に移らせるには、「速足―進め」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令でさらにそのまま2歩前進し、両手を開いておろすと同時に速足行進に移る。

(駆け足行進の停止)

第29条 駆け足行進を停止させるには、「駆け足―止れ」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令でさらに2歩前進し、次に後ろ足を1歩踏み出し、次の足を引きつけて止まり、次に両手をおろす。

(駆け足行進の後ろ向き)

第30条 駆け足行進中後ろ向きをさせるには、「まわれ右前へ―進め」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令でさらに3歩前進し、左足先を内にしておおむね半歩前に踏み出し、両足の親指付根のふくらみを軸に180度右にまわり、続けて行進する。

(足踏みおよび足踏みの停止)

第31条 足踏みをさせるときは、「足踏み―始め」または「駆け足足踏み―始め」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で行進中のときは、1歩(駆け足のときは3歩)前進して足踏みを行なう。この場合、足は、親指付根のふくらみを地面からおおむね0.1メートル上げる。

3 停止間のときは、左足から速足調または駆け足調で足踏みを行う。

4 駆け足足踏みの場合は、予令で手を握つて腰に上げる。

5 足踏みを停止させるには、「足踏み―止れ」の号令をかける。

6 隊員は、前項の号令で「速足(駆け足)止れ」の要領により足をおろして正しい姿勢をとる。

(足踏みから速足(駆け足)への移行)

第32条 足踏みから速足(駆け足)に移らせるには、「前へ(駆け足)―進め」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で速足(駆け足)に移る。

(足の踏み変え)

第33条 足の踏み変えをさせるには、「足を―変え」の号令をかける。

2 隊員は、速足行進中に前項の号令があつたときは右(左)足を1歩踏み出し、右(左)かかとの近くに左(右)足先をつけると同時に右(左)足で踏み出す。

3 隊員は、駆け足行進中に足を変えるには、左(右)足は上げたまま右(左)足でさらに1回跳躍して、地についたら次の左(右)足から駆け足行進に移る。

第2節 部隊訓練

第1款 通則

(目的)

第34条 部隊訓練の目的は、部隊活動の基礎を鍛練することにある。

(主眼)

第35条 部隊訓練の主眼は、部隊の団結力、規律、士気および協同動作を向上し、正確で軽快な部隊行動を訓練するとともに、指揮者の指揮能力を向上することにある。

(部隊訓練の種別)

第36条 部隊訓練は、小隊訓練、中隊訓練および大隊訓練とする。

(命令の予告および動作の監視)

第37条 (中)隊訓練に際し、中(小)隊長はあらかじめその中(小)隊の行なおうとする動作を低声で指示または手信号で合図することができる。

2 (小)隊長は、整とん、隊形変換等をする場合においては、中(小)隊の動作を監視しなければならない。

(部隊訓練の留意事項)

第38条 部隊訓練の実施上留意すべき事項は、次の各号に掲げるところによる。

(1) 整とんを行なう場合列員は、足の位置を正して、かしら、肩および上体を前後に出すことなく正しい姿勢をとり、かしらを右(左)にまわし、右(左)の目で右(左)列員を見、他の目で右(左)の隊列を見通すものとすること。

(2) 行進中は、歩調のせいと適正な間隔および距離の保持に努め、常にかしらをまわさないで整とん翼の方にある列員および前方の列員に注意し、整とん翼から押してくるときは、これにしたがい、反対翼から押してくるときは、これをささえるものとすること。

(3) 行進中、間隔および距離が伸縮したときは、徐々に回復するように努めること。

(4) 障害物等に遭遇したときは、直ちに左右に避けないで足踏みをし、他の列員の行進に支障がなくなつてから、障害物等を避けてすみやかにもとの位置に復すること。

(5) 整とん翼の方の列員と踏み足の違つたときは、第33条の規定により足の踏み変えをし、速やかに整とん翼側列員の踏み足にあわせること。

(6) みち足は、不整地等の行進の際、縦隊の隊形でこれを行なうものとすること。

(7) 方向を変えるには、停止間の場合は、速足を用いるものとし、特に必要のあるときは、駆け足を用い、予定の次に「駆け足」の号令を加えること。ただし、行進中の場合は、原則として駆け足を用いること。

2 指揮者は、この節の定めにかかわらず、必要のあるときは、特定の人員の位置を指揮し、または隊形を変更することができる。

(指揮者の位置)

第39条 指揮者は、通常、部隊の掌握および訓練に最も適切な位置にあつて指揮を行なう。

(隊員の確認)

第40条 部隊の集合が終わつたとき指揮者は、番号を呼称させ、人員の確認を行なうものとする。

2 番号を呼称する列員は、通常、横隊においては前列員、縦隊においては最右翼員(以下「基準列員」という。)とする。

(番号)

第41条 番号を呼称させるときは、「番号」の号令をかける。

2 横隊においては、前項の号令で右翼者から左へと順次番号を呼称する。

3 縦隊においては、第1号の号令で列員の先頭者から後方へ順次番号を呼称する。

(部隊訓練の準備)

第42条 部隊訓練を行なうためには、あらかじめ、この節第2款の規定にしたがい、分隊で訓練を行なうものとする。

第2款 小隊訓練

第1目 編成および隊形

(小隊の編成)

第43条 小隊は、3分隊に分け、分隊は10人の隊員をもつて編成する。ただし、人員の都合により増減することができる。

2 小隊は、きよう導として横隊にあつてはその両翼に、縦隊にあつては最右翼列の先頭および後尾に分隊長を置くものとする。

3 横隊の前後列の2人および縦隊の左(右)方列の4人をという。

4 横隊の左翼の後列および縦隊の後尾左(右)方列を欠く場合を、欠という。

(小隊の隊形)

第44条 小隊の隊形は、小隊横隊、小隊側面縦隊および小隊縦隊とし、第1図から第3図までのとおりとする。

2 横隊は、主として集合、点検および短距離の動作に、側面縦隊は、主として横隊に連係して行なう行動隊形に、縦隊は主として集合および長距離の行動隊形に用いるものとする。

第1図 小隊横隊

第2図 小隊側面縦隊

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第3図 小隊縦隊

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(横隊の集合)

第45条 小隊を横隊に集合させるには、「集まれ」の号令をかける。

2 右翼分隊長は、前項の号令で、指揮者の前方おおむね5メートルの距離をとつて横隊の定位につき、列員はその左方に身長の順序に2列を整列し、列間の距離がおおむね1.1メートルになるように整とんする。

3 隊員の間隔は、通常手を腰にあてた長さとし、この間隔を規正するために前列員は右手を腰にあてて右方に整とんし、後列員は前列員にならつたのち右方に整とんし、整とんが終われば右より手をおろす。

(縦隊の集合)

第46条 小隊を縦隊を集合させるには、「縦隊に―集れ」の号令をかける。

2 最右翼列の先頭分隊長は、前項の号令で、指揮者の前方おおむね5メートルの距離をとつて縦隊の定位につき、列員はその後方に身長の順序に4列に整列し、列員間の距離は、おおむね1.2メートルになるようにする。

3 隊員は、各個に間隔を規正するため、前条第3項に準じて整とんする。

(小隊長の位置)

第47条 小隊長は、小隊が横隊に整列している場合は、右翼分隊長の右方おおむね1.5メートルに位置し、側面縦隊の場合は、先頭分隊長の前方おおむね1.5メートルに位置し、縦隊の場合は、中央前方おおむね1.5メートルの所に位置する。

第2目 整とん

(横隊の整とん)

第48条 横隊を整とんさせるには、「右(左)へ―ならえ」の号令をかける。

2 隊員は、前項の号令で右(左)翼分隊長を除く隊員が、右手を腰にあて、ひじを側方に張り、(後列員は、まず正しく前方の列員に重なつて距離をとり、)次にかしらを右(左)へまわし右(左)列員にならい整とんする。

3 整とんが終わつたときは、「直れ」の号令で、隊員はかしらを正面に復し、右手をおろす。

(側面縦隊の整とん)

第49条 側面縦隊を整とんさせるには、「ならえ」の号令をかける。

2 前項の号令で、小隊の先頭分隊長は、動くことなく、小隊の旧正面にある列員および後尾分隊長は、おおむね1.2メートルの距離をとつて、先頭分隊長に重なり、その他の列員は、前方の者に重つて旧正面の方に頭を向け手をあげないで整とんする。

3 整とんが終わつたときは、「直れ」の号令で、隊員はかしらを正面に復する。

(縦隊の整とん)

第50条 縦隊を整とんさせるには「ならえ」の号令をかける。

2 前項の号令で、最右翼の先頭分隊長は、動くことなく、基準列員は、おおむね1.2メートルの距離をとつて先頭分隊長に重なり、その他の列員は、右手を腰にあて、前方の者に重なり基準列員の方にかしらを向け、整とんする。

3 整とんが終わつたときは、第48条第3項の規定により動作する。

(整とんの的確)

第51条 横隊の整とんを的確にするためきよう導を出して行なうものとする。

2 前項の整とんを行なうときは、指揮者は、「きよう導(何)歩前へ―進め」と号令し、きよう導が前進して停止したときは、その位置を正したのち、「右(左)へ―ならえ」の号令をかける。

3 「右(左)へ―ならえ」の号令で、小隊は前進し、最後の1歩を縮めて整とん線のやや後方に止まり、次にかしらを右(左)にまわし、小足で静かに整とん線につき、第48条第2項の規定により整とんする。

4 (左)翼分隊長はすみやかに整とんの基礎を定めるため反対翼の分隊長を目標とし、整とん翼に近い列員から遂次整とんを正し、反対翼の分隊長はこれを補助する。

5 整とんが終わつたときは、第48条第3項の規定により動作する。

第3目 右(左)向きおよび後ろ向き

(右(左)向き)

第52条 横隊が右(左)向きをしたときは、偶数員(奇数員)は、斜め1歩前進し、奇数員(遇数員)の右(左)に出てを組み、側面縦隊となる。ただし、両翼分隊長は、各自その位置で右(左)向きをする。

2 側面縦隊で左(右)向きをしたときは、を解いて横隊になり、右(左)に整とんする。

3 縦隊で右(左)向きをしたときは、4列横隊となり左(右)に整とんする。

(後ろ向き)

第53条 横隊または縦隊を後ろ向きさせるには、第18条の規定により行なう。この場合、横隊にあつては、両翼分隊長および欠伍は前列につくものとする。

第4目 行進

(横隊の直行進)

第54条 横隊の直行進のきよう導は、常に右方とし、特に左方とする場合または必要がある場合は「きよう導左」の号令による。

2 指揮者は、直行進の号令を下す前には、通常、行進目票をきよう導に示すものとし、小隊がいつせいに行進を起したときは,隊員はきよう導にならつて行進し、きよう導は、列員にかかわらず正規の歩調と速度を保つて、指示された目標に向い、また正面と直角に行進する。

(縦隊の右(左)向け発進)

第55条 縦隊を停止間より行進を起すと同時に、右(左)へ方向変換させるには、第21条の規定により行なう。

(行進中の右(左)向きおよび後ろ向き)

第56条 横隊または側面縦隊で行進中の小隊を、右(左)向きさせるには、「右(左)向け前へ―進め」の号令をかける。

2 隊員は、第52条第1項および同条第2項の規定により、側面縦隊または横隊を作り行進する。

3 縦隊で行進中の小隊を右(左)向きさせるには、第22条および第52条第3項の規定により行なう。

4 行進中後ろ向きさせるには、第25条および第53条の規定により行なう。

(側面縦隊および縦隊行進中における整とん)

第57条 側面縦隊及び縦隊の隊員は、常に旧正面側にある列員または基準列員を基準に整とんしながら行進し、きよう導の後方にある隊員は、きよう導の進んだ線を踏み、その他の隊員は、前方の隊員の進んだ線を踏んで行進する。

(斜行進)

第58条 斜行進を行なう場合は、第24条の規定により行なうものとし、列員の肩は互に平行し、右(左)斜行進の場合は、列員の右(左)肩は右(左)列員の左(右)肩の後ろにならなければならない。

2 列員は、常に斜行する方向に整とんする。

(みち足)

第59条 みち足をさせるには、「歩調やめ」の号令をかける。

2 みち足行進中は、第19条所定の歩調をとらないものとする。

3 みち足行進から速足行進をさせるには、「歩調とれ」の号令をかけ第19条の規定により速足行進に移る。

(行進の停止)

第60条 小隊を止まらせるには、「小隊―止まれ」の号令をかける。

2 前項の号令で小隊は停止し、横隊の場合列員は各自整とんし、側面縦隊および縦隊の場合列員は、そのままとする。

3 側面縦隊で行進中の小隊を止めて、直ちに横隊を作らせるには、「左(右)向け―止まれ」の号令をかける。

4 隊員は、前項の号令で第52条第2項の規定により動作する。

第5目 方向変換、隊形変換等

(横隊の方向変換)

第61条 横隊を停止間および行進中において方向変換させるには、「右(左)に向きを変え―進め」の号令をかける。

2 前項の号令で停止間の場合は、軸翼にある分隊長は右(左)向きをし、その他の隊員は半ば右(左)向きをして近道をとおり、逐次新線に至つて停止し、その右(左)列員に整とんする。

3 行進中においては、方向を変えながら新方向に行進する。

4 指揮者は、方向を変え終わろうとするとき、必要がある場合は、きよう導を指示するものとする。

5 行進方向を変え、直ちに停止する必要があるときは、「右(左)に向きを変え―止まれ」の号令を下し、軸翼にある分隊長は、第23条第2項の要領で停止し、列員は新線に至り停止し、その右(左)列員に整とんする。

6 半ば右(左)に方向を変換させるには、「半ば右(左)に向きを変え―進め」の号令をかける。ただし、45度以外の方向変換は、目標を示したのち号令をかける。

7 前項の号令で隊員は、第2項から第5項までの要領により動作する。

(側面縦隊および縦隊の方向変換)

第62条 側面縦隊および縦隊を方向変換させるには、「くみぐみ右(左)へ―進め」の号令をかける。

2 行進中においては先頭は小さな環形を歩み、旋回軸にある列員は、最初の数歩をちぢめ、外翼にある列員は、正規の歩調で行進し、常に旋回軸の方に整とんしつつ右(左)に向きを変えて行進する。この際各は、前のと同じ所に至つて同じ方法で向きを変える。

3 停止間においては、前項に準じて動作し、部隊の深さだけ前進し指揮者の指示により停止する。

(側面縦隊および縦隊半ば方向変換)

第63条 側面縦隊および縦隊を半ば右(左)へ方向変換させるには、「くみぐみ半ば右(左)へ―進め」の号令をかける。ただし、45度以外の方向変換は、目標を示したのち、この号令をかける。

2 側面縦隊および縦隊は、前項の号令で、前条に定める側面縦隊および縦隊の方向変換の要領に準じて、おおむね45度右(左)へ向きを変えて前進し、45度以外の方向変換は、あらかじめ示された新目標に向つて前進する。

(側面縦隊の横隊変換)

第64条 側面縦隊から、同方向に横隊を作らせるには、「左(右)へ並び―進め」の号令をかける。

2 前項の号令で先頭分隊長は、停止間の場合はそのままとし、行進中の場合は続けて行進し、列員は、を解きながら近道をとおつて横隊を作り、きよう導にならい整とんする。

3 側面縦隊で行進中同方向に横隊を作り直ちに停止させるには、「左(右)へ並び―止まれ」の号令をかける。

4 前項の号令で先頭分隊長は、直ちに停止し、列員は、を解いて近道をとおつて横隊を作り、きよう導にならい整とんする。

(行進中の横隊の側面縦隊変換)

第65条 行進中の横隊を、同方向へ側面縦隊として行進させるには、「右(左)向けくみぐみ左(右)へ―進め」の号令をかける。

2 前項の号令で小隊は、右(左)向きをして側面縦隊となり、ついで第62条の側面縦隊の規定によつて、方向を変え続けて行進する。

(解散)

第66条 小隊を解散させるには、「別れ」の号令をかける。

2 小隊長が前項の号令をかけたときは、隊員は、小隊長に対して各個の敬礼をして別れる。

第3款 中隊訓練

第1目 編成および隊形

(中隊の編成)

第67条 中隊の編成は、第43条の規定に準じ、おおむねこれを3小隊とし、第1から第3までの番号をつける。

2 前項の小隊は、おおむね30人の隊員をもつて編成する。ただし、人員の都合により増減することができる。

(中隊の隊形)

第68条 中隊の隊形は、中隊横隊、中隊縦隊、中隊併立縦隊、中隊側面縦隊および中隊直列縦隊とする。

2 中隊内各小隊間の距離および間隔は、必要により適宜伸縮することができる。

(中隊横隊)

第69条 中隊横隊は、横隊の小隊を横につらねた形で、第4図のとおりとする。

第4図 中隊横隊

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(中隊縦隊)

第70条 中隊縦隊は、横隊の小隊が縦に重なつた隊形で、第5図のとおりとする。

第5図 中隊縦隊

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(中隊併立縦隊)

第71条 中隊併立縦隊は、中隊縦隊を側面に向けた隊形で、第6図のとおりとする。

第6図 中隊併立縦隊

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(中隊側面縦隊)

第72条 中隊側面縦隊は、側面縦隊の小隊が縦に重なつた隊形で、第7図のとおりとする。

第7図 中隊側面縦隊

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(中隊並列縦隊および中隊直列縦隊)

第73条 中隊並列縦隊は、縦隊の小隊を横につらねた隊形で第8図のとおりとする。

2 中隊直列縦隊は、縦隊の小隊が縦に重なつた隊形で、第9図のとおりとする。

第8図 中隊並列縦隊

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第9図 中隊直列縦隊

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(中隊の集合)

第74条 中隊の集合は、第45条および第46条の規定を適用する。

2 中隊の集合隊形は、通常、中隊縦隊および中隊並列縦隊とする。

(中隊長および小隊長の位置)

第75条 中隊横隊および中隊縦隊の場合の中隊長の位置は、第1小隊の右翼分隊長の右方おおむね1.5メートルとし、小隊長の位置は、各小隊の中央おおむね1.5メートルに位置する。

2 中隊併立縦隊および中隊側面縦隊の場合の中隊長の位置は、第1小隊の先頭分隊長の左方おおむね1.5メートルの前方おおむね1.5メートルとし、小隊長の位置は、各小隊の先頭分隊長の前方おおむね1.5メートルに位置する。

3 中隊並列縦隊の場合の中隊長の位置は、第2小隊長の前方おおむね3メートルに位置し、中隊直列縦隊の場合の中隊長の位置は、第1小隊長の前方おおむね3メートルに位置する。

第2目 整とん

(整とん)

第76条 中隊を整とんさせるには、小隊の整とんに準じて動作する。

第77条 併立縦隊および並列縦隊の隊形にある中隊を整とんさせるには、指揮者は、基準小隊を示し、「ならえ」の号令をかける。

2 前項は号令で基準小隊は、第49条および第50条の規定により動作し、その他の小隊は基準小隊の方に整とんする。

3 整とんが終つたときは、「直れ」の号令で、隊員は、第49条および第50条の規定により動作する。

(整とんの的確)

第78条 横隊および縦隊の隊形にある中隊の整とんを的確にするため、きよう導を出して行なうものとする。

2 横隊の整とんを行なうには、指揮者は、「きよう導(何)歩前へ―進め」と号令し、各小隊の両翼分隊長がいつせいに前進して停止したときは、その位置を正したのち、「右(左)へ―ならえ」の号令をかける。

3 「ならえ」の動令で、中隊は前進し第51条第3項から第5項までの規定により整とんする。

4 縦隊の整とんを行なうには、指揮者は、「きよう導(何)歩前へ―進め」と号令し、先頭小隊の両翼分隊長が前進して停止したときは、その位置を正したのち、「右(左)へ―ならえ」の号令をかける。

5 「ならえ」の動令で、先頭小隊長および先頭小隊の列員は、第51条第3項から第5項までの規定により整とんし、後方小隊の小隊長及び整とん翼の分隊長は列員とともに前進し、正しく距離をとり、先頭小隊長および先頭小隊整とん翼の分隊長に重なるものとする。

第3目 右(左)向きおよび後ろ向き

(縦隊の右(左)向き)

第79条 縦隊の隊形にある中隊が、右(左)向きをしたときは、各小隊は、第52条第1項の規定によつて動作をし、第71条に定める併立縦隊となる。

(併立縦隊の左(右)向き)

第80条 併立縦隊の隊形にある中隊が左(右)向きをしたときは、第52条第2項の規定によつて動作をし、第70条に定める縦隊となる。

(横隊の右(左)向き)

第81条 横隊の隊形にある中隊が右(左)向きをしたときは、各小隊は、第52条第1項の規定によつて動作をし、第72条に定める側面縦隊となる。

(側面縦隊の左(右)向き)

第82条 側面縦隊の隊形にある中隊が左(右)向きをしたときは、各小隊は、第52条第2項の規定によつて動作をし、第69条に定める横隊となる。

(横隊および縦隊の後ろ向き)

第83条 横隊および縦隊の隊形にある中隊が後ろ向きをしたときは、各小隊は、第53条の規定によつて動作をし、各小隊長は、その位置で後ろ向きをする。

第4目 行進

(行進の原則)

第84条 中隊の行進については、第33条第38条および第54条から第60条までの規定によつて実施するほか、この目の規定による。

(長距離行進)

第85条 長距離行進は、直列縦隊で行なうものとする。

(縦隊の直行進)

第86条 縦隊が直行進を行なう場合は後方小隊のきよう導は、その前方小隊のきよう導を進んだ線を踏み、そのきよう導から常におおむね8メートルの距離を保つものとする。

(併立縦隊および並列縦隊の行進)

第87条 併立縦隊および並列縦隊が行進を行なう場合は、指揮者は、通常、基準小隊を示し、かつ、必要があるときは、その小隊のきよう導の行進目標を示すものとする。

(行進中の右(左)向きおよび後ろ向き)

第88条 中隊訓練における行進中の右(左)向きおよび後ろ向きは、第79条から第83条までの規定に準じて行なう。

(行進中の縦隊の左(右)向き停止)

第89条 行進中の併立縦隊または側面縦隊を止めて、直ちに側面に向つて縦隊または横隊を作らせるには、「左(右)向け―止まれ」の号令をかける。

2 前項の号令で中隊は、停止して、第80条または第82条の規定により縦隊または横隊となる。

(みち足)

第90条 中隊のみち足は直列縦隊の隊形で行ない、第59条の規定を準用する。

第5目 方向変換、隊形変換等

(方向変換および隊形変換)

第91条 中隊の方向変換および隊形変換は、前に規定した諸制式によつて実施するほか、この目の規定による。

(縦隊および横隊の方向変換)

第92条 縦隊の方向を変えさせるには、「右(左)に向きを変え―進め」の号令をかける。

2 前項の号令で停止間においては、先頭小隊は、第61条の規定によつて動作をし、後方小隊は、号令で半ば左(右)向きをし、斜行進をしながら先頭小隊の軸翼分隊長の後方に至り、右(左)に方向を変え、正規の距離をとつて、右(左)の方に整とんする。

3 第1項の号令で行進中においては、後方小隊は、先頭小隊の方向変換をした同じ所に至り、号令なくして方向を変えながら、先頭小隊に続行する。

4 横隊の方向変換は、通常、行なわないものとする。

(併立縦隊および並列縦隊の方向変換)

第93条 併立縦隊および並列縦隊の方向を変えさせるには、「右(左)に向きを変え―進め」の号令をかける。

2 前項の号令で、停止間においては、軸翼にある小隊は、第62条の規定によつて右(左)に方向を変え、小隊の深さだけ新方向に進んで停止し、他の小隊は、軸翼小隊と正規の間隔を保ち方向を変えながら行進し、軸翼小隊の先頭と同一線に至つて停止する。

3 第1項の号令で、行進中においては、軸翼にある小隊は、前項同じ方法で方向を変えながら行進し、その他の小隊は、駆け足で方向を変えながら軸翼小隊の先頭と同一線に至つて、速足に移り、行進する。

(縦隊から横隊への変換)

第94条 縦隊から同方向に横隊を作らせるには、「横隊作れ―進め」の号令をかれる。

2 前項の号令で、小隊長の指示に従つて、先頭小隊はそのままとし、中央小隊は半ば右向き、後尾小隊は半ば左向きをし、近道をとおつて先頭小隊の右(左)の方に正規の位置に至つて停止し、中央小隊に整とんする。

3 (左)側に横隊を作らせるには、「左(右)へ横隊作れ―進め」の号令をかける。

4 前項の号令で小隊長の指示に従つて、先頭小隊はそのままとし、後方小隊は半ば左(右)向きをし、近道をとおつて順次先頭小隊の左(右)の方に正規の位置に至つて停止し、右(左)の方に整とんする。

5 行進中においては、横隊への変換は、通常、行なわないものとする。

(側面縦隊から縦隊への変換)

第95条 側面縦隊から同方向に縦隊を作らせるには、「縦隊作れ―進め」の号令をかける。

2 前項の号令で、小隊長の指示に従つて、先頭にある分隊長は、停止間においてはそのままとし、行進中においては続けて行進し、先頭小隊の列員は、を解きながら近道をとおつて横隊を作り、後方小隊は、先頭小隊に準じて小隊ごとに横隊を作り、正規の距離をとる。

(側面縦隊から併立縦隊への変換)

第96条 側面縦隊から同方向に併立縦隊を作らせるには、「併立縦隊作れ―進め」の号令をかける。

2 前項の号令で、小隊長の指示に従つて、先頭小隊は、停止間においてはそのままとし、行進中においては続けて行進し、中央(後尾)小隊は、右(左)の方に正規の間隔をとるように進出し、軸翼小隊の先頭と同一線に至る。

3 (左)側に併立縦隊を作らせるには、「右(左)に併立縦隊作れ―進め」の号令をかける。

4 前項の号令で、小隊長の指示に従つて、先頭小隊は、停止間においてはそのままとし、行進中においては続けて行進し、後方小隊は、右(左)の方に正規の間隔をとるように進出し、軸翼小隊の先頭と同一線に至る。

(横隊から縦隊への変換)

第97条 横隊から同方向に縦隊を作らせるには、「縦隊作れ―進め」の号令をかける。

2 前項の号令で小隊長の指示に従つて、中央小隊はそのままとし、右小隊は度の深い左向きをし、斜行進をして中央小隊の後方に至つて停止し、左小隊は度の深い右向きをし、斜行進をして右小隊の位置する後方に至つて停止し、正規の距離をとつて右の方に整とんする。

3 (左)側に縦隊を作らせるには、「右(左)へ縦隊作れ―進め」の号令をかける。

4 前項の号令で、小隊長の指示に従つて、右(左)小隊はそのままとし、その他の小隊は度の深い右(左)向きをし、斜行進をして右(左)小隊の後方に至つて停止し、正規の距離をとつて右の方に整とんする。

5 行進中の場合は、縦隊への変換は、通常、行なわないものとする。

(中隊の解散)

第98条 中隊の解散は、第66条の規定を適用する。

第4款 大隊訓練

第1目 隊形

(大隊の隊形)

第99条 大隊の隊形は、大隊横隊および大隊縦隊とする。ただし、必要ある場合に指揮者は、別に隊形を定めることができる。

(横隊および縦隊)

第100条 大隊横隊は、中隊縦隊を横に並列した隊形で、主として点検に用い、第10図のとおりとする。

2 大隊縦隊は、中隊縦隊が縦に重なつた隊形で、主として分列行進に用い、第11図のとおりとする。

第2目 整とん等

(大隊訓練)

第101条 大隊訓練を行なうには、前に規定した諸制式によつて実施するほか、この条の規定による。

2 指揮者は、各中隊をして、同時に同一の動作をさせる必要がある場合は、号令を用いるものとする。

3 指揮者は、整とん、行進、方向変換、隊形変換等を行なうため必要がある場合は、基準中隊および中隊の関係位置等を中隊長に示すものとする。

4 各中隊間の距離および間隔は、各中隊整とん翼分隊長が保つものとする。

第10図 大隊横隊

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第11図 大隊縦隊

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第3章 車両操練

第1節 通則

(目的)

第102条 車両操練の目的は、単車および車両部隊としての各種行動の基礎を鍛練することにある。

(主眼)

第103条 操練の主眼は、人車一体となり、正確にして軽快な行動をとりうるよう訓練するとともに、指揮者の指揮能力の向上を図るものとする。

(操練の留意事項)

第104条 車両操練上留意すべき事項は、次の各号に掲げるところによる。

(1) 徒歩訓練、操縦操練の成果を応用拡充して訓練を行なうよう努めること。

(2) 常に車両の点検および整備を行なつて、車両行動を円滑にし、故障の発生を予防すること。

(3) 操練は、努めて平易な場所で行ない、道路を利用する場合においては教育の進度に適応して経路を選定すること。

(4) 操練の場合における速度は、通常毎時10ないし20キロメートルを基準とすること。

(信号)

第105条 前方(後方)からの信号は通常各車ごとに確実に後方(前方)に伝え、次に緊急を要する信号は、速やかに行なわなければならない。

2 隊形変換等の場合において、単位部隊の指揮者は、必要があれば、その部下部隊の行なうべき動作について、さらに信号することができる。

(準用)

第106条 車両操練に必要な事項で、この章に定めてないものは、徒歩訓練の章に規定する事項を準用する。

第2節 単車操練

第1款 通則

(目的)

第107条 単車操練の目的は、単車行動の基礎を鍛練するとともに、車両部隊操練の基礎を作ることにある。

(主眼)

第108条 訓練の主眼は、分隊長またはその職務を代行する者(以下「分隊長」という。)以下の者が協同動作を保ちながら、各自それぞれ規律を守り、人車一体となつて正確に行動できるように訓練することにある。

(操練上の注意事項)

第109条 単車操練は、まず運転員に基本の動作を、分隊長に指揮法、運転員の援助法等を教育したのち相互に連携させて総合的に訓練しなければならない。

2 運転員は、独力でも操縦、点検整備ができるように、訓練に努めなければならない。

第2款 定位および姿勢

(下車時の定位)

第110条 乗車員を下車時の定位につけるときは、「集れ」と号令する。

2 乗車員は、前項の号令で、第12図のように位置する。

(乗車時の定位)

第111条 乗車員の乗車時の基準定位は第13図のとおりとする。ただし、車両の種別または人員の都合により、これによらないことができる。

第12図 下車時の定位

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(乗車時の姿勢)

第112条 乗車している場合は「気をつけ」の号令で、次の姿勢をとる。

(1) 運転員は、ハンドルに正対し、両手で軽くこれを握る。

(2) その他の乗車員で腰を掛けた者は、両手を軽く握つてひざの上に置くか、または両手で手すりを握り姿勢を正し、立つている者は、両手で手すり等を握つて足はおおむね半歩開いて姿勢を正す。

2 乗車員が乗車している場合「休め」の号令があつたときは、乗車員は適宜楽な姿勢をとる。ただし、走行中にあつては運転者は、操縦に専念しなければならない。

第3款 停止間の動作

(乗車)

第113条 乗車員を乗車させるには、「乗車」の号令をかける。

2 乗車員は、「乗車」の号令でそれぞれ乗車の定位につき、姿勢を正す。ただし、分隊長は、通常、隊員の乗車を確かめたのち乗車する。

(下車)

第114条 乗車員を下車させるときは、「下車」の号令をかける。

2 乗車員は、「下車」の号令でそれぞれ下車時の定位につき、姿勢を正す。ただし、分隊長は、隊員の下車を確かめたのち定位につく。

(機関始動)

第115条 機関を始動させるには、「機関始動」の号令をかける。

2 運転員は、前項の号令で機関を始動する。

(機関停止)

第116条 機関を停止させるときは、「機関停止」の号令をかける。

2 運転員は、前項の号令で機関を停止する。

第4款 運動

(前進)

第117条 前進させるときは、「前進」の号令をかける。この場合、必要があれば号令の前に速度、行進目標を示す。

2 運転員は、前項の号令で徐々に発進して、次第に示された速度に移り、正しく方向と速度を保つて行進する。

(停止)

第118条 停止させるときは、「止れ」の号令をかける。ただし、やむを得ず急停止させるときは、号令を短く切り、かつ、急速にかける。

2 運転員は、前項の号令で停止する。

(速度の増減)

第119条 速度を増減させるときは、「速度を増せ」または「速度を落せ」の号令をかける。この場合、必要があれば号令の速度増減の程度を示す。

2 運転員は、前項の号令で、徐々に速度を増減する。

(方向変換)

第120条 車両を方向変換させるには、「右(左)に向きを変え―進め」の号令をかける。この場合、必要があれば号令の前に角度または目標を示す。

2 停止している場合にあつては、行進を起すと同時に第14図の要領により半径おおむね10メートルの円弧を描くように右(左)におおむね90度もしくはあらかじめ示された角度、または目標に正対するように向きを変える。

3 行進中の場合にあつては、前項に準じて動作したあと新たな方向に向つて行進する。

第13図 乗車時の定位

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(旋回)

第121条 車両を旋回させるには、「右(左)へ旋回」の号令をかける。この場合、必要があれば号令の前に旋回の角度または目標および使用してもよい地域を示す。

2 運転員は、前項の号令で前進、後退を反復し、第15図の要領により、あらかじめ示された角度または目標に正対するように旋回して停止する。分隊長は下車して誘導する。

第14図

(1) 右へ90°方向変換

(2) 右へ180°方向変換

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(後退)

第122条 車両を後退させるには、「後退」の号令をかける。

2 運転員は、前項の号令で徐々に後退する。分隊長は、下車して誘導する。

(側方移動)

第123条 車両を側方に移動させるには、「右(左)に寄れ」の号令をかける。この場合、号令の前に移動の距離および使用してよい地域を示す。ただし、側方移動は、停止間においてのみ行なうものとする。

2 運転員は、側方移動の捜査を行ない、第16図のように示された位置に移る。分隊長は、下車して誘導する。

第15図

(1) 90°右へ旋回

(2) 180°右(左)へ旋回

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第16図 右へ測方移動

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第3節 車両部隊操練

第1款 通則

(目的)

第124条 車両部隊操練の目的は、車両部隊の部隊活動の基礎を鍛錬することにある。

(主眼)

第125条 操練の主眼は、指揮者の指揮能力と各車間の協同連係の向上を図ることにある。

(基準車、基準縦隊および基準部隊)

第126条 部隊の整とんおよび運動を規正するために基準車、基準縦隊および基準部隊を定める。

2 縦隊においては先頭車、横隊においては通常、中央車(車両数が偶数の場合には右中央車)を基準車とする。

3 大部隊においては、そのつど基準部隊を定める。その他の部隊は基準部隊にならう。

(距離および間隔)

第127条 訓練の場合における距離は、おおむね10メートルとし、その間隔は、おおむね3メートルとする。ただし、集合時における距離は、おおむね5メートルとする。

2 特別の距離および間隔をとる必要がある場合には、そのつど指揮者の示すところによる。

(車両部隊と徒歩部隊との関係)

第128条 車両部隊と徒歩部隊とは、通常、それぞれ別々の行動をとるものとする。

2 車両部隊が徒歩部隊とともに集合する場合においては、車両部隊は、通常、徒歩部隊の左方または後方に位置する。

第2款 隊形

(要旨)

第129条 指揮者車は、通常、基準車もしくは基準縦隊または基準部隊の前方に位置する。

2 指揮者は、特に必要があるときは、車両の位置、距離および間隔を特に指定し、またはその隊形を適宜変更することができる。

(縦隊)

第130条 縦隊は、部隊の大小を問わず、運動に最も適した隊形で、全車両は、縦に1列になり、通常、第17図のとおり各車の軸心を1線にそろえる。

第17図 縦隊

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(中隊以下の隊形)

第131条 中隊以下の隊形は、縦隊のほか横隊および並列縦隊とし、横隊は、主として集合に、並列縦隊は、集合及び近距離の運動に用いる。

2 横隊では、全車両を横に1列に並べ、第18図のように各車の前端を1線にそろえる。

3 並列縦隊では、縦隊隊形の各単位部隊を横に並べ、第19図のように各縦隊の先頭車の前端を1線にそろえる。

第18図 横隊

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第19図 並列縦隊

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(大隊の集合隊形)

第132条 大隊の集合隊形は、縦隊のほか大隊縦隊及び大隊横隊とし、指揮者車は、大隊の前方おおむね10メートルに位置する。

2 大隊縦隊においては、第20図のように並列縦隊の中隊を縦に重ね、中隊間の距離は、おおむね10メートルとする。

3 大隊横隊においては、第21図のように並列縦隊の中隊を横に並べ、中隊間の間隔は、おおむね10メートルとする。

第20図 大隊縦隊

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第21図 大隊横隊

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第3款 集合、整とん、行進および停止

(集合)

第133条 部隊を集合させるときは、指揮者は、隊形および必要があれば基準車の位置を示したのち、集合を命ずる。

2 基準車は、指揮者の後方または示されたところに位置し、各車、各単位部隊は、基準縦隊および基準部隊にならつて示された隊形に集合する。

(整とん)

第134条 横隊および並列縦隊の車両部隊を整とんさせるには、「整とん始め」および「整とんやめ」の号令をかける。ただし、指揮者は、号令をかける前に、必要な人員を下車させ、整とん線上に基準車、標員等を配置して、その整とんを正すものとする。

2 車両部隊は、「整とん始め」の号令で、各車は、分隊長の誘導に従い、徐々に距離および間隔をとり、「整とんやめ」の号令で、下車しているものは乗車する。

3 縦隊を整とんさせる場合にあつては、前2項に準じて行なう。

(行進)

第135条 車両部隊を行進させるには、指揮者は、必要があれば行進目標および速度を示したのち号令をかけ、さらに行進中にあつては必要に応じ速度を示す。

2 基準車は、正しく方向と速度を保つて行進し、他の車も動令と同時に出発して逐次規定の関係位置をとる。行進間において距離および間隔を失なつた場合は、徐々に回復する。

(停止)

第136条 車両部隊を停止させるときは、「止まれ」の号令をかけ、行進間の距離および間隔を保つたまま停止させるときは、「その場に―止まれ」の号令をかける。

2 基準車は、「止まれ」の号令で徐々に停止し、その他の各車両は、基準車の規定の距離および間隔を保つて徐々に停止する。

3 行進中「その場に―止まれ」の号令がかかつたとき各車両は、行進間の距離および間隔を保つたまま徐々に停止する。

第4章 操法訓練

(目的)

第137条 操法訓練の目的は、消防用機械器具(以下「機械器具」という。)の取扱い、及び操作の基本を習熟させ、災害防ぎよ上の諸般の要求に適応させるにある。

(主眼)

第138条 操法訓練の主眼は、隊員各自の任務分担を明確に遵守させて、機械器具の取扱い操作の確実を期するとともに、共同動作が円滑適正に行なわれ、有効適切な活動ができるよう訓練することにある。

(操法訓練の種目)

第139条 操法訓練の種目は、次のとおりとする。

(1) 消防操法

火災現場における防ぎよ活動を円滑適正に行なうために必要な機械器具の取扱いおよび操作の基本についての訓練

(2) 救助操法

火災現場その他の災害現場において、人命の救助を円滑適正に行なうため、救助に必要な機械器具の取扱いおよび操作の基本についての訓練

(3) 救急操法

災害による事故等で生じた傷病者を搬送するため必要な救急資器材の取扱いおよび操作の基本についての訓練

(委任)

第140条 前条の操法訓練の実施に関し必要な事項は、消防団長が定める。

第3編 礼式

第1章 総則

(礼式の種別)

第141条 礼式は、隊員および部隊の行なう敬礼および儀式とする。

(本編の適用)

第142条 本編の規定は、原則として制服を着用した隊員および部隊に適用する。

(礼式の実施)

第143条 礼式の実施に際しては、厳正明確を旨とし、隊員の規律と品位を保つように注意しなければならない。

第2章 敬礼

第1節 通則

(敬礼の種類)

第144条 敬礼は、各個の敬礼、部隊の敬礼および旗の敬礼とする。

(1) 各個の敬礼とは、隊員が各個に行なう敬礼をいう。

(2) 部隊の敬礼とは、部隊が行なう敬礼をいう。

(3) 旗の敬礼とは、旗で行なう敬礼をいう。

(敬礼の一般的事項)

第145条 敬礼は、別に各節に定めるもののほか、受礼者その他敬礼を行なうべきものを明らかに認め得る距離(おおむね5メートル)において相手に注目して行なう。

2 敬礼を行なうときは、答礼または「直れ」の号令の終わるのを待つてもとに復する。

3 敬礼を行なう場合において、敬礼を受ける者が答礼を行わないものであるときおよび受礼者の答礼を待つことができないときは、適宜もとに復する。

(答礼)

第146条 敬礼を受けた者は、答礼を行なうものとする。

2 答礼の動作は、敬礼に準ずる。

(敬礼動作)

第147条 敬礼動作は、別に各節において定めるもののほか、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 挙手注目の敬礼は、受礼者に向つて姿勢を正し、右手を上げ、指を接して伸ばし、人さし指と中指とを帽子の前ひさしの右端にあて、たなごころを少し外方に向け、ひじを肩の方向にほぼその高さに上げ、受礼者に注目して行なう。ただし、右手を上げることができないときまたは正規の方法によりがたいときは、15度の敬礼を行なう。

(2) 最敬礼は、受礼者に向つて姿勢を正し、注目した後、上体をおおむね45度前に傾けかしらを正しく保つて行なう。ただし、帽子を持つているときは、右手に前ひさしをつまみ、内部をももに向けて垂直に下げ、左手は、ももにつけてたれるものとする。

(3) 15度の敬礼は、上体をおおむね15度前に傾けて行なうほか、前号に準じて行なう。

(4) かしら右(左、中)または注目の敬礼の場合、指揮者は挙手注目の敬礼を行ない、隊員は注目して行なう。ただし、かしらを向ける角度は、おおむね45度を限度とする。

(5) 姿勢を正す敬礼は、不動の姿勢をとつて行なう。

第2節 各個の敬礼

第1款 通則

(各個の敬礼)

第148条 各個の敬礼は、次の各号に掲げるところによる。

(1) 隊員は、特に定めがあるもののほか、上長に対して敬礼を行なう。

(2) 2人以上の上長に対する敬礼は、まずそのうちの最上級者に対して行ない、次に他の上長一同に対して行なう。ただし、最上級者が明らかでないときは、上長一同に対して行なうものとする。

(3) 休憩中における上長に対する敬礼は、隊員各個に行なう。ただし、上長とともにあるときは、この限りでない。

(4) 同級者は、互いに敬礼を行なう。

(5) 隊員は、国旗または隊の標識である旗(以下「国旗等」という。)が隊の施設または儀式の式場等において掲揚、降納される場合は、これに対して敬礼を行なうものとする。

(6) 隊員は、隊員のひきつぎまたは遺骨(以下「ひつぎ等」という。)に対して敬礼を行なう。

(敬礼の省略)

第149条 隊員が制服を着用していない場合その他相手が受礼者であるかどうか確認できない場合は、敬礼を省略することができる。

2 隊員は、映画館、劇場、飲食店、船車等その他の場所で公衆が雑踏し敬礼を行なうことが困難な場合は、敬礼を省略することができる。

3 隊員は、次の各号に掲げる場合は、敬礼を行なわないものとする。

(1) 上級者に随従している場合において、当該上級者が敬礼を受けるべきとき。

(2) 車両等の操縦または短艇その他の船舶の操だに従事しているとき。

(3) 勤務、演習、訓練、作業に従事している場合で、敬礼することがその任務遂行に支障があるとき。

(歩行中の場合)

第150条 歩行中の隊員は、歩行のまま敬礼を行なうことができる。ただし、国旗等および隊員のひつぎ等に対しては、停止して敬礼を行なうものとする。

(入室の場合)

第151条 入室のときは、職務の執行上支障がある場合を除き、室外において脱帽するものとする。

2 上長の室に入るときは、ノツクし、在室者の応答を得た後、室内に入り、上長の席を離れることおおむね2メートルの位置で停止し、敬礼を行なう。

3 上長の室を去るときは、前項に準じて敬礼を行なう。

4 前2項の場合において、在室の上長2人以上で主客の別あるときは、第148条第2号の規定にかかわらず、まず主たる上長に対して敬礼を行なう。

(辞令等の受領または提出の場合)

第152条 室内で辞令、賞状および書類等を受けるときは、授与者を離れることおおむね2メートルの位置で停止し、敬礼を行なう。その後さらに適宜前進し、帽子を左わきにはさみ、右手でこれを受け、左手に納め、ついで帽子を右手に移しもとの位置に復して、ふたたび敬礼を行なつたのち、退去するものとする。

2 辞令または賞状の類を受けたときは、その場において左手を添えて開いて見ることを礼とする。

3 上長に書類等を提出するときは、左手から右手に移して行なうほか第1項の規定に準じて行なう。

第153条 室外で辞令、賞状及び書類等を受けるときまたは書類等を提出するときは、授与者からおおむね5メートルの位置で敬礼を行なうほか、前条の規定に準じて行なう。

(命令もしくは論告の受領または陳述もしくは申告の場合)

第154条 室内で、上長から命令もしくは論告を受けまたは上長に陳述もしくは申告を行なうときは、第151条の規定により敬礼を行なつたのち、状況により適宜前進し、命令もしくは論告を受けまたは陳述もしくは申告を行なつてもとの位置に復し、再び敬礼を行なつた後、退去するものとする。

第155条 室外で、上長から命令もしくは論告を受けまたは上長に陳述もしくは申告を行なうときは、上長からおおむね5メートルの位置で敬礼を行なうほか、前条の規定に準じて行なう。

(訓授場、教養場等における場合)

第156条 訓授場、教養場等に訓授者または上長もしくは教養者(以下「訓授者等」という。)が来場したときは、在場中の最上級者またはあらかじめ定められたものが「気をつけ」または「起立」の号令を下し、訓授者等が定位についたとき「敬礼」の号令でいつせいに敬礼を行ない、次に「休め」または「着席」の号令をかける。

2 訓授者等が退場するときは、前項に準じて行なう。ただし、「休め」または「着席」の号令は、上長または訓授者等が室外に出たのちかけるものとする。

(訓授中または教養中もしくは作業中の場合)

第157条 室内で、訓授中または教養中もしくは、作業中上長が来場したとき、または退場するときは、訓授者等のみが敬礼を行なう。

2 隊員は、着席中起立している訓授者等から話しかけられた場合は、起立して応答するものとする。

第2款 着帽時の敬礼

(敬礼の方式)

第158条 着帽時の敬礼は、挙手注目の敬礼または姿勢を正す敬礼とする。

(挙手注目の敬礼)

第159条 挙手注目の敬礼は、次の各号に掲げるものについて行なう。

(1) 国旗等またはひつぎ等に対するとき。

(2) 第150条第153条及び第155条の規定により敬礼を行なうとき。

(3) 前各号に定めるもののほか、室外において挙手注目の敬礼を必要とするとき。

(姿勢を正す敬礼)

第160条 姿勢を正す敬礼は、次の各号に掲げるものについて行なう。

(1) 国歌に対するとき。

(2) 船艇または車内において着席しているとき。

(3) 前各号に定めるもののほか、室外において姿勢を正す敬礼を必要とするとき。

第3款 脱帽時の敬礼

(敬礼の方式)

第161条 脱帽時の敬礼は、最敬礼、15度の敬礼および姿勢を正す敬礼とする。

(最敬礼)

第162条 隊員のひつぎ等に対しては、最敬礼を行なう。

(姿勢を正す敬礼)

第163条 国歌、国旗等または室内において上長に応答するときは、姿勢を正す敬礼を行なう。

(15度の敬礼)

第164条 前2条に定めるもののほか、脱帽している場合は、15度の敬礼を行なう。

第3節 部隊の敬礼

第1款 通則

(部隊の敬礼)

第165条 部隊は、その指揮者が第148条の規定により敬礼を行なうべき場合に敬礼を行なうものとする。

(部隊の敬礼の方式)

第166条 部隊の敬礼は、最敬礼、注目の敬礼、かしら右(左、中)の敬礼、姿勢を正す敬礼または指揮者のみの敬礼とする。

2 部隊の敬礼は、指揮者のみ敬礼の場合を除き、指揮者の号令により行なう。

3 指揮者のみの敬礼は、挙手注目の敬礼、15度または指揮じようの敬礼を行なう。

(敬礼を行なう単位)

第167条 部隊の敬礼は、独立する分隊、小隊または中隊では各部隊ごとに、大隊では中隊ごとに行なう。ただし、大隊以上の部隊で停止間の場合は、大隊ごとに行なうものとする。

(個々の隊員に対する敬礼)

第168条 個々の隊員に対する部隊の敬礼は、その指揮者より上長の者でなければ行なわない。

(部隊相互の敬礼)

第169条 部隊相互の敬礼は、指揮者の階級の下の者から行なう。

2 指揮者の階級が同級のとき、または明らかでないときは、先後を問わず行なう。

(室内または夜間の敬礼)

第170条 部隊の敬礼は、室内または、夜間においては、特に必要がある場合のほか、行なわない。

(部隊の敬礼の省略)

第171条 第149条の規定は、部隊の敬礼の省略について準用する。

第2款 行進間の敬礼

(行進中の場合)

第172条 行進中の部隊の敬礼は、速足行進で歩調を整えたのち、受礼者のおおむね7メートルの位置で、指揮者の号令により第147条第4号の敬礼を行なう。ただし、都合により、隊員はみち足のままとし、指揮者のみが速足行進で敬礼を行なうことができる。

2 駆け足行進の場合は、駆け足のまま指揮者のみが敬礼を行なう。

3 部隊は、前各項の規定にかかわらず、国歌、国旗等または隊員のひつぎ等に対しては、停止して敬礼を行なう。

(分列行進の場合)

第173条 指揮者は、敬礼の始点に達したときは、挙手注目の敬礼を行ない、敬礼の終点を過ぎたときは、もとに復して列を脱し、すみやかに観閲者の右側後方に至り、分列行進の終わるまで同所に位置する。

2 大隊長(徒歩部隊の場合は、中隊長)は、敬礼の始点に達したときは、「かしら―右」の号令を下し、隊員は、いつせいに観閲者に注目しながら行進する。ただし、車両部隊の運転員および徒歩部隊のきよう導となる分隊長は、注目を行なわない。

3 前項の場合において中隊長(徒歩部隊の場合は小隊長)以上は、挙手注目の敬礼を行なう。

3 大隊長(徒歩部隊の場合は中隊長)は、大隊(徒歩部隊の場合は中隊)の後尾の敬礼の終点を過ぎたとき、「直れ」の号令を下し、隊員は、敬礼をもとに復して続けて行進する。

(車両および船艇の場合)

第174条 車両および船艇の乗員が、敬礼を行なうときは、指揮者の号令でそのまま注目し、指揮者は、着席したまま敬礼を行なう。ただし、都合により、指揮者のみの敬礼によることができる。

2 運転員は、運転中においては敬礼を行なわない。

(音楽隊の場合)

第175条 奏楽を行ないつつ行進している音楽隊は、指揮者のみが指揮じようをもつて敬礼を行なう。

第3款 停止間の敬礼

(停止間の場合)

第176条 停止間の部隊の敬礼は、まず隊列を正し、受礼者が部隊のおおむね7メートルにきたとき指揮者の号令により第147条第4号の敬礼を行ない、「直れ」の号令でもとに復する。

(観閲の場合)

第177条 観閲における部隊の敬礼は、観閲者が大(中)隊の先頭に近づいたとき、その大(中)隊長は、「気をつけ」の号令を下し、ついでおおむね7メートルに近づいたとき、「かしら―右」の号令を下し、中(小)隊長以上は挙手注目の敬礼を行ない、隊員は、これを目迎目送する。

2 観閲者がその大(中)隊をおおむね7メートル過ぎたとき「直れ」の号令を下し、ついで「整列―休め」の号令をかける。

3 (中)隊横隊の観閲を行なう場合は、観閲者が各中(小)隊おおむね7メートル前にきたとき、その中(小)隊長は、「かしら―右」の号令を下し、小隊長以上は、挙手注目の敬礼を行ない、隊員は、これを目迎目送し、観閲者がその中(小)隊をおおむね7メートル過ぎたとき、「直れ」の号令をかける。ただし、この場合大(中)隊長は、号令をかけないものとする。

(車両及び船艇の場合)

第178条 第174条第1項の規定は、停止間の敬礼について準用する。

(音楽隊の場合)

第179条 奏楽を行なつている音楽隊は、敬礼を行なわない。

第4款 着帽時の敬礼

(注目の敬礼)

第180条 注目の敬礼は、次の各号に掲げるものについて行なう。

(1) 国旗等またはひつぎ等に対するとき。

(2) 第155条の規定により敬礼を行なうとき。

(3) 儀式のとき。

(4) 前各号に定めるもののほか、室外において注目の敬礼を必要とするとき。

(かしら右(左、中)の敬礼)

第181条 かしら右(左、中)の敬礼は、次の各号に掲げるものについて行なう。

(1) 観閲、儀式または分列行進のとき。

(2) 前号に定めるもののほか、室外においてかしら右(左、中)の敬礼を必要とするとき。

(姿勢を正す敬礼)

第182条 姿勢を正す敬礼は、次の各号に掲げるものについて行なう。

(1) 国歌に対するとき。

(2) 船艇または車内において着席しているとき。

(3) 前各号に定めるもののほか、室外において姿勢を正す敬礼を必要とするとき。

第5款 脱帽時の敬礼

第183条 部隊が脱帽している場合は、指揮者のみの敬礼を行なう。

(最敬礼)

第184条 前条の規定にかかわらず、隊員のひつぎ等に対しては、最敬礼を行なう。

(姿勢を正す敬礼)

第185条 国歌、国旗等に対しては、姿勢を正す敬礼を行なう。

第4節 旗の敬礼

(旗を持つ者の位置)

第186条 旗を持つ者の位置は、大(中)隊横隊については、大(中)隊長の右方おおむね1.5メートル、大隊縦隊にあつては、大(中)隊長の後方おおむね1.5メートルにする。

(旗の持ち方)

第187条 隊の標識である旗の持ち方は、特別の定めがないかぎり、旗ざおの下端を右足先にあて、右手の前腕を水平にして旗を垂直に保つものとする。ただし、旗ざおバンドのある旗の持ち方は、旗ざおの下端を右もも付近にある旗ざおバンドにあて、右手をもつて旗ざおを肩の高さの個所でにぎり、ひじを自然に少しまげ、旗の先端をわずかに前方に傾けるものとする。

2 上長の標識である旗の持ち方は、特別の定めがない限り、旗ざおの下端を右足につけ、右手をのばして旗ざおをにぎり垂直に保持する。

(旗の敬礼の方式)

第188条 隊の標識である旗の敬礼は、指揮者の号令により旗を持つ者が旗ざおの下端を右足先または右ももにあてたまま、右手をじゆうぶん前にのばしてこれを行なう。

2 上長の標識である旗の敬礼は、通常これを行なわないものとする。

3 隊の標識である旗を持つ者および上長の標識である旗を持つ者は、敬礼を行なわない。

第5節 その他

(隊員の呼称)

第189条 隊員は、すべて氏名及び職名または階級を併用して呼称する。ただし、都合により氏または職名のみを呼称する。

(上長との同行)

第190条 上長と同行するときは、先導する場合その他特別の場合を除き、同行者1人のときは、左側または後方につき、2人以上のときは、その両側または後方につくものとする。

(車両乗降)

第191条 上長と車両に乗車するときは、特別の場合を除き、上長を先にし、降車するときは上長を後にするものとする。

(短艇内の席の順位)

第192条 短艇に乗り組むときは、上長を後にし、艇尾に近い席の中央を上席とし、順次艇首に近い席につき、降りるときは、上長を先にするものとする。

(表彰式等における特例)

第193条 表彰式等において受賞者多数の場合は、第152条および第153条の規定にかかわらず、受賞者の代表者をあらかじめ指定して行なうことができる。

2 前項の場合、受賞者全員は、授与者を中心として室内にあつてはおおむね2メートル室外にあつてはおおむね5メートルのところに位置し、受賞者の代表者は指揮者となり、右翼に位置し、指揮者の号令により15度の敬礼または注目の敬礼を行なつたのち、代表者は第152条第1項後段および同条第2項の規定により受賞し、再び敬礼を行なつたのち、右(左)向きの要領で全員隊列に復するものとする。

第3章 儀式

第1節 通則

(儀式)

第194条 儀式は、観閲式、表彰式、祝賀式、葬送式および出初式とする。

(儀式の執行)

第195条 儀式は、2以上の儀式をあわせて執行することができる。

2 儀式は、通常、国旗のもとで執行するものとする。

第2節 観閲式

(観閲式を行なう場合)

第196条 観閲式は、次の各号に掲げるものについて行なう。

(1) 市長又は消防団長が就任後初めて部隊等を公式に視察するとき。

(2) 表彰式、祝賀式、出初式を行なう場合であつて、当該儀式の執行者が特に必要であると認めたとき。

(3) 前各号に掲げるもののほか、市長又は消防団長が特に必要であると認めたとき。

(観閲式の隊形)

第197条 観閲式の隊形は第22図のとおりとし、車両その他の機械のある場合は1列横隊とし、隊員の後方に先端をそろえて配列し、車両その他の機械のない場合は大(中)隊横隊とする。

2 人員、機械器具の多少または土地の状況によつて前項の隊形によりがたいときは、適宜その隊形を変更することができる。

第22図 観閲の隊形

(1) 機械器具のある場合

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(2) 機械器具のない場合

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(観閲者の臨場および退場)

第198条 観閲者が臨場したときは、指揮者は、「気をつけ」の号令を下し、観閲者が定位についたときは、第176条および第177条の規定による敬礼を行ない、ついで前進して、人員および機械器具その他必要事項を報告し、終わつて「整列―休め」の号令を下したのち、観閲者を誘導し、またはこれに随行する。

2 観閲者が退場するときは、前項に準じて敬礼を行なう。

(観閲における部隊の敬礼)

第199条 観閲における部隊の敬礼は、第177条の規定により行なう。

(分列行進の隊形)

第200条 分列行進の隊形は、第23図のとおりとし、徒歩部隊の場合においては、大隊縦隊とし、車両部隊の場合においては、1列縦隊または大隊縦隊とする。ただし、車両部隊に徒歩部隊が参加するときは、車両部隊は、徒歩部隊の後に続くものとする。

2 土地その他の状況によつて、前項の隊形によりがたいときは、適宜その隊形を変更することができる。

第23図 分列行進の隊形

(1) 徒歩部隊の場合

(2) 車両部隊の場合

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(分列行進)

第201条 分列行進を行なう場合において指揮者は、第24図のとおり敬礼の始点および終点に標員をおいた後、行進を命ずる。

2 前項の前進の命令により、先頭の大(中)隊長は、「分列に前へ―進め」の号令を下して発進し、ついでその他の各大(中)隊長は、所定の距離になるのを待つて「分列に前へ―進め」の号令を下し、逐次発進する。

第24図 分列行進の場合の標員の位置

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(分列行進中の敬礼)

第202条 分列行進中の敬礼は、第173条の規定により行なう。

(行進終了の部隊)

第203条 行進が終わつた部隊は、逐次指揮者の定める位置に至つて観閲者退場に対する敬礼の準備をする。

(儀式終了の報告)

第204条 儀式が終了した場合(行進の場合は、標員、音楽隊またはラツパ隊が撤収した後)指揮者は、観閲者の前面に至つて、儀式終了の報告を行ない、命令を持つものとする。

(音楽隊およびラツパ隊)

第205条 音楽隊及びラツパ隊は、行進に参加することなく、あらかじめ、指定された位置において奏楽するものとする。ただし、必要があるときは、そのつど指揮者の定めるところによる。

第3節 その他の儀式

第206条 表彰式、祝賀式、出初式、葬送式の儀式は、当該儀式の執行者の定めるところによる。

第4編 点検

第1章 点検

第1節 通則

(要旨)

第207条 この編は、隊員の人員、姿勢、服装、訓練、礼式、機械器具、備品(貸与物品を除く。以下同じ。)および貸与物品等を検査するために必要な事項を定めるものとする。

(点検の種類)

第208条 点検は、通常点検、特別点検および現場点検とする。

(点検者および指揮者)

第209条 点検は、指揮監督の任にある者が点検者となり、これにつぐ幹部の者が指揮者となつて行なう。

2 点検者または指揮者に事故あるときは、順次これに次ぐ幹部の者が代理する。

(点検の隊形、項目および方法の変更)

第210条 点検を受ける人員が少ないとき、または点検を行なう場所が狭いときその他この編の規定どおり点検を実施しがたい理由のあるときは、この編の規定の趣旨に反しない限り、点検の隊形、項目および方法等を適宜変更して行なうことができる。

(部隊編成)

第211条 通常点検および特別点検中において、礼式及び訓練の点検を行なうときは、次の各号の要領によつて第25図のとおり部隊を編成する。

第25図 礼式および訓練を点検する場合の部隊編成

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(1) 班長は、きよう導になる。ただし、人員の都合によつて列員に入れることができる。

(2) きよう導に充てるべき班長がないときは、団員中適当なものをこれに充てることができる。

(3) 合同点検のような場合であつて、分団長が多数のときは、分団長をきよう導に充て、その他の分団長は、列員に入れることができる。

(4) 部隊に加わらない副団長又は分団長があるときは、列外に位置する。

(点検の隊形)

第212条 前条の点検の隊形は通常、小隊において横隊、中隊においては中隊縦隊、大隊においては大隊横隊とする。

(機械器具点検における部隊編成)

第213条 機械器具の点検を行なうときは、指揮者は次の各号の要領によつて第26図のとおり部隊を編成する。

第26図 機械器具点検における部隊編成

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(1) その日の当務員である隊員は、通常、乗車を予定されている車両の前面に、各車両ごとに一列横隊に整列する。

(2) 部隊に加わらない隊員があるときは、列外に位置する。

(行動および動作等の準用)

第214条 特別点検および現場点検の際における動作について、特に定めのないものは、通常点検の規定を準用し、点検の行動および動作等については、この編のほか第2編訓練および第3編礼式に定める規定を準用して行なう。

第2節 通常点検

第1款 訓練および礼式

(通常点検の内容)

第215条 通常点検は、人員、姿勢、服装および消防手帳(以下「手帳」という。)、機械器具保存手入の適否並びに応急準備の検査を行なうものとする。

(通常点検の実施)

第216条 通常点検は、招集又は演習の際に適宜これを行うものとする。ただし、点検の全部を行うことができないときは、適宜分割してこれを行つてもよい。

(通常点検の要領)

第217条 指揮者は、点検者が臨場したときは、「気をつけ」の号令を下し、点検者が定位についたときは、これに対して部隊の敬礼を行ない、人員数その他必要事項を報告したのち、点検者の左側おおむね1.5メートルの位置につき、順次次の号令を下す。ただし、人員が多数のときは第4項に定める点検を行なう間、他の隊員を「整列一休め」させることができる。

(1) 番号

(2) 前列4歩前へ一進め

(3) 手帳

(4) おさめ

(5) 後列4歩前へ進め

2 前項第3号に定める「手帳」の号令があつたときは、隊員は、左手を胸のポケツトに添え、手帳に注目しながら右手でこれを前方に向けて出し、ひじをわきにつけ、前腕を水平に体と直角に出し、左手を添えて表紙を開き、右たなごころの上において、おや指でこれをおさえ、頭を正面に復すると同時に左手をたれる。

3 第1項第4号に定める「おさめ」の号令があつたときは、隊員は、手帳に注目し、左手を添えて手帳の表紙を閉じ、左手をポケツトに添え、右手でこれをおさめ、頭を正面に復すると同時に両手をたれる。

4 点検者は、第1項第2号に定める号令による動作が終わつたときは、指揮者を随行して前列の右翼前面から服装および姿勢の適否等を検査し、左翼を通過して前列の後面を同じ要領により検査したのち、後列に至り、前列同様の検査をし、第2項に定める動作が終つたときも同じ要領によつて手帳の保存およびその取扱の適否等を検査し、終わつて定位につくものとする。

5 前項に定める検査は、都合により適宜省略することができる。

6 列員は、点検者が手帳を取つて検査するときは、右手をおろし、不動の姿勢をとつて、手帳が返却されるのを待つものとする。

7 指揮者は、第1項に定める動作が終了したときは、部隊をもとの位置に復させたのち、点検者に、点検終了の旨を報告し、部隊の定位につき、ついで点検者退場するときは、部隊の敬礼を行なう。

8 列外者は、点検者の臨場または退場に際しては、指揮者の行なう部隊の敬礼を合図に、点検者に対し敬礼を行なう。

9 中隊以上の通常点検の場合は、指揮者は、第1項各号列記以外の部隊中に定める敬礼および報告をしたのち、小隊長を小隊の右翼に位置させる。

第2款 機械器具

(機械器具点検の要領)

第218条 機械器具の点検は、第216条および第217条の規定に準じて行ない、指揮者は、順次次の号令を下す。

(1) 番号

(2) 定位につけ

(3) 点検始め

(4) 事前に進め

2 前項第3号に定める「点検始め」の号令があつたときは、隊員は、次項に定める事項について点検を行ない、その異状の有無を各分隊長に報告し、各分隊長は、これを指揮者に報告する。

3 機械器具の点検は、保存手入の良否及び応急準備の適否を検査するものとする。

(1) 機械各部の清掃および手入の状況

(2) 機械各部の液体漏えい、付属部品の脱落および破損個所の有無

(3) 機関部およびポンプ部の良否

(4) 冷却水、オイルおよびガソリンの状況

(5) 積載品の完否

(6) タイヤおよび空気圧の良否

(7) 計器類の良否

(8) 操縦装置および制動装置の良否

(9) 照明装置の良否

(10) 警音器具の良否

(11) その他必要事項

4 第1項第4号に定める「車前に進め」の号令があつたときは、隊員は、いつせいにもとの位置に復する。

5 指揮者は、第1項各号に定める動作が終わつたときは、点検者にその異状の有無を報告する。

6 消防艇の機械器具の点検は、第212条およびこの条の規定に準じて行なう。

第3節 特別点検

第1款 通則

(特別点検の内容)

第219条 特別点検においては、次の各号の全部または一部の事項について検査を行なう。

(1) 訓練

(2) 礼式

(3) 施設および防ぎよ演習

(4) 機械器具

(5) 備品および貸与物品

(特別点検の実施)

第220条 特別点検は、毎年1回以上行なう。

第2款 訓練

(特別点検の種目)

第221条 訓練の特別点検は、次のとおりとする。

(1) 徒歩訓練

 各個訓練

 部隊訓練

(2) 車両操練

(3) 操法訓練

2 前項の点検は、これを分割し、またはその種目を指定して行なうことができる。

(訓練特別点検要領)

第222条 前条の点検を行なうとき、指揮者は、徒歩訓練のうち各個訓練においては、点検を受ける者を一列横隊にして適当な間隔に開かせ、部隊訓練、車両操練および操法訓練においては、適当な部隊を編成したのち、号令を下して行なう。

第3款 礼式

(礼式特別点検の種目)

第223条 礼式特別点検の種目は、次のとおりとする。

(1) 室内の敬礼

(2) 室外の敬礼

(3) 辞令等授受の敬礼

(4) 部隊の敬礼

2 前項の点検は、これを分割し、またはその種目を指定して行なうことができる。

(室内の敬礼および室内外の辞令授受の敬礼の点検要領)

第224条 室内の敬礼および室内外の辞令、賞状及び書類等の授受の敬礼の点検を行なうときは、第27図のとおり指揮者は、前列の中央おおむね2メートル前に出発点を適当な位置に境界線を定め、礼式の種目および出発点その他必要な事項を指示したのち「前列一歩前へ―進め」の号令を下し、次に「整列―休め」の号令を下し、点検者が所定の位置についたとき、指揮者の位置に至つて、「休め」の号令を下す。ただし、室外の辞令、賞状および書類等の授受の点検を行なう場合は、境界線を定めない。

第27図 室内の敬礼及び室内外の辞令等授受の敬礼の点検

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2 前項の「始め」の号令があつたときは、前列員は、各自の位置から半ば左(右)向きの要領により出発点に至り、指揮者の指示による動作を終わつて、左翼きよう導の背後から前列員の間をとおつてもとの位置に復し、後列員は、各自の位置から半ば右向きをし、右翼きよう導の右端をとおつて出発点に至り、指揮者の指示による動作を終わつて、左翼きよう導の左端から後列の背後をとおつてもとの位置に復する。

3 各列員の出発点への発進は、前の者が出発点を発進した直後、出発点に到達できるように行ない、出発点についたときは姿勢を正し、ここからの発進は、前者の点検と重複しない範囲において、指揮者の命を持つことなく行なう。

4 点検が終わつたときは、指揮者は、後列を一歩前進させたのち、隊列をもとの位置に復する。

(室外の敬礼の点検要領)

第225条 室外の敬礼の点検を行なうときは、第28図のとおり指揮者は、右翼きよう導の右一歩の位置に出発点を定め、礼式の種目および出発点その他必要な事項を指示したのち「整列―休め」の号令を下し、点検者が所定の位置についたとき、指揮者の位置に至つて「始め」の号令を下す。

第28図 室外における敬礼の点検

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2 前項の「始め」の号令があつたときは、右翼きよう導は、姿勢を正しく右向きをし、出発点に至り停止し、左向きをして前進し、点検者に対して敬礼を行ない、出発点に相対する位置から左向きをし、左翼きよう導に相対する位置にいつたん停止して左向きをし、一歩前進して整とん線につくものとし、各列員は、前列の右翼から後列の順に行なう。

3 各列員の発進は、前条第3項に定める要領に準じて行なう。ただし、出発点からの発進は、前の者の敬礼が終わるのを待つて行なうものとする。

4 点検が終つたときは、指揮者は、隊列をもとの位置に復する。

(部隊の敬礼の点検要領)

第226条 部隊の敬礼の点検を行なうときは、指揮者は、これを指示したのち、定位について、点検者が所定の位置についたとき、「かしら―右(左)」または「注目」の号令を下す。

2 点検者は、列の右(左)の方から、その前面を通過しながら、またはその位置にいたまま点検を行なう。

3 指揮者は、挙手注目し、隊員は、目迎目送し、または部隊の敬礼に準じて敬礼を行なう。

第4款 施設および防ぎよ演習

(施設および防ぎよ演習特別点検の種目)

第227条 施設および防ぎよ演習特別点検の種目は、次のとおりとする。

(1) 火災防ぎよ演習

(2) 救助、救急演習

(3) 水災防ぎよ演習

(4) 消防施設およびその保存整備の状況

第5款 機械器具

(機械器具特別点検の種目および事項)

第228条 機械器具特別点検の種目および事項は、次のとおりとする。

(1) 機械点検

 ポンプ車、救急車、特殊消防車等の原動機の気とうの圧縮試験および圧力試験、ポンプの真空試験および放水試験その他必要事項

 破壊用機械、工作用機械等

(2) 器具点検

 吸水管およびホースの修理および保存の良否

 ポンプおよび車両の附属品および積載品の完否

 各種予備品および消耗品の整否

 救命器具、破壊器具、工作器具および救急衛生材料の整否および保存手入の良否

(機械器具特別点検の要領)

第229条 機械器具特別点検を行なうときは、指揮者は、あらかじめ検査に便利なように必要な準備をするものとする。

第6款 備品および貸与物品

(備品および貸与物品特別点検の種目および事項)

第230条 備品および貸与物品の特別点検の種目および事項は、次のとおりとする。

(1) 備品の有無および取扱管理の良否

(2) 貸与物品の有無および使用保存の良否

(3) 機械器具置場、詰所、望楼等の管理の状況

(備品および貸与物品特別点検の要領)

第231条 備品および貸与物品の特別点検を行なうときは、指揮者は、あらかじめ、備品および貸与物品の配置の場所を定めて、検査に便利なように必要な準備をするものとする。

(点検後の処置)

第232条 点検者は、第228条および第230条に定める点検を終了したのち、必要と認めるときは、修理または補充を命じなければならない。

第4節 現場点検

(現場点検の内容)

第233条 現場点検は、水火災の防ぎよその他の作業が終わつたとき、現場において、次の各号の事項について異状の有無について検査を行なう。

(1) 人員および服装

(2) 機械器具

(3) その他必要事項

(現場点検の要領)

第234条 前条の点検は、出場の車両および徒歩部隊ごとにその長が行なう。

2 隊員は、隊員の事故または機械器具および物品の紛失もしくはき損があるときは、直ちに点検者に申告し、その検査を受けなければならない。

3 上級指揮者があるときは、点検者は前2項による点検の結果の報告を行ない、その指示を受けるものとする。

1 この規則は、昭和47年10月1日から施行する。

2 向日町消防団操法規則(昭和30年規則第1号)および消防操法指導基準は、廃止する。

(平成13年3月30日規則第11号)

この規則は、平成13年4月1日から施行する。

(平成18年9月27日規則第39号)

この規則は、公布の日から施行する。

別表第1

符号

符号の種類

符号の意味

符号の種類

符号の意味

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指揮者

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大隊縦隊

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大隊長

 

 

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分隊長

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中隊長または大隊長付

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隊員または乗車員

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中隊長付

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車両

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小隊長

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中隊長車

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分隊長

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大隊長車

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分隊長でない列員

別表第2

信号

信号の種類

信号の図示

信号の意味

乗車

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片腕を(手のひらを上にして)水平に横に延ばし数回垂直に上げる。

下車

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片腕を(手のひらを下にして)水平に横に延ばし数回垂直に下げる。

集合

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右手を高く上げる。

前進

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右手を高く上げ、進む方向におろす。(または、数回振る。)

止まれ

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右手を高く上げ、直におろす。

(左)に方向変え

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片腕を高く垂直に上げ、曲る方向に水平に倒す。(または、方向指示器による。)

後退

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手のひらを前に向け、胸のところで数回前に押す動作をする。

(左)に寄れ

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片腕の手のひらを外側にして肩に上げ、数回外側に動かす。

追い越せ

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片腕を横に出し、手を前後に振つて追越しを促す。

了解

 

受けた信号を繰り返す。

解散

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右手を高く上げ頭上で左、右に振る。

向日市消防団員の訓練及び礼式に関する規則

昭和47年9月30日 規則第24号

(平成18年9月27日施行)

体系情報
第12編
沿革情報
昭和47年9月30日 規則第24号
平成13年3月30日 規則第11号
平成18年9月27日 規則第39号