○向日市認知症初期集中支援推進事業実施要綱

平成29年12月28日

告示第125号

(趣旨)

第1条 この要綱は、認知症になつても本人の尊厳が守られ、できる限り住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、認知症が疑われる人又は認知症の人及びその家族に早期に認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し、認知症の早期診断及び早期対応に向けた支援(以下「初期集中支援」という。)の体制を構築することを目的とした向日市認知症初期集中支援推進事業(以下「支援事業」という。)を実施することに関して必要な事項を定めるものとする。

(実施主体)

第2条 支援事業の実施主体は向日市とする。ただし、市長は、支援事業の全部又は一部を適切な事業運営が確保できると認められる社会福祉法人及び医療法人等に委託することができる。

(支援チームの配置)

第3条 支援チームは、地域包括支援センターに配置するものとする。

(支援チームの構成)

第4条 支援チームの構成員(以下「チーム員」という。)は、第1号に掲げる専門職(以下「専門職」という。)2名以上及び第2号に掲げる専門医(以下「専門医」という。)1名以上の計3名以上の者で編成する。

(1) 専門職は、次の要件を全て満たす者とする。

 保健師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士等の医療保健福祉に関する国家資格を有する者

 認知症ケア実務経験3年以上又は在宅ケア実務経験3年以上を有する者

 国が定める認知症初期集中支援チーム員研修を受講した者(以下「研修受講者」という。)ただし、やむを得ない場合には、研修受講者であるチーム員と当該研修の受講内容を支援チーム内で共有することにより、研修受講者でない者の支援チームへの参加も可能とする。

(2) 専門医は、次のいずれかに該当する医師とする。

 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ、国が定める認知症サポート医養成研修(以下「認知症サポート医研修」という。)を受講した医師(以下「認知症サポート医」という。)

 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ、今後5年間において認知症サポート医研修を受講する予定のある者

 認知症サポート医であつて、認知症疾患の診断及び治療に5年以上従事した経験を有し、かつ、認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図つている者

(支援対象者)

第5条 支援事業の対象者(以下「訪問支援対象者」という。)は、市内に住所を有し、原則として、在宅で生活している40歳以上の者であつて、認知症が疑われる者又は認知症の者で次のいずれかの基準に該当する者とする。

(1) 医療サービス又は介護サービスを受けていない者又は中断している者で次のいずれかに該当する者

 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

 継続的な医療サービスを受けていない者

 適切な介護サービスに結び付いていない者

(2) 医療サービス又は介護サービスを受けているが、認知症の行動及び心理症状が顕著なため、家族等が対応に苦慮している者

(チーム員の役割)

第6条 専門職は、訪問支援対象者に対する認知症の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために、訪問支援対象者及びその家族等(以下「訪問支援対象者等」という。)に対して訪問活動等を行うものとする。

2 専門医は、認知症に関する専門的見識から他のチーム員に指導、助言等を行い、必要に応じて他のチーム員とともに訪問支援対象者を訪問し、相談に応じるものとする。

3 訪問支援対象者等への初回の観察・評価の訪問(以下「初回訪問」という。)は、原則として2名以上のチーム員で行うものとし、評価票の記入は医療系専門職が行うものとする。

(訪問支援対象者の把握)

第7条 地域包括支援センターは、支援チームが地域包括支援センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるよう配慮するものとする。

2 支援チームは、直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においては、地域包括支援センターと情報共有を図るものとする。

(初回訪問時の支援)

第8条 支援チームは、初回訪問をする際、次に掲げる支援を訪問支援対象者等に行うものとする。

(1) 認知症の包括的観察及び評価

(2) 基本的な認知症に関する正しい情報の提供

(3) 専門医療機関への受診及び介護保険サービスの利用効果に関する説明

(4) 訪問支援対象者等の心理的サポート、助言等

2 支援チームは、訪問支援対象者等を初めて訪問するに当たつては、訪問支援対象者等のほか、あらかじめ協力の得られる者が同席できるよう調整を行い、訪問支援対象者の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集するとともに、認知症の包括的観察及び評価を行うものとする。

(支援の方針等の検討)

第9条 支援チームは、初回訪問の後、訪問支援対象者ごとに観察及び評価内容を総合的に確認し、支援の方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行うものとする。

2 支援チームは、必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、市関係課職員等に対しチーム員会議への参加を依頼するものとする。

(初期集中支援の実施)

第10条 支援チームは、訪問支援対象者が医療サービス又は介護サービスによる安定的な支援に移行するまで概ね6か月間、訪問支援対象者等に対し、次に掲げる初期集中支援を実施するものとする。

(1) 医療機関への受診が必要な場合の動機付け

(2) 継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援

(3) 介護サービスの利用等の勧奨・誘導

(4) 認知症の重症度に応じた助言

(5) 身体を整えるケア

(6) 生活環境等の改善

(7) その他必要な初期集中支援

(初期集中支援終了後の支援)

第11条 支援チームは、訪問支援対象者等への初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、訪問支援対象者について、地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を実施する等の方法により、円滑に引き継ぎを行うものとする。

2 引き継ぎの2か月後に、チーム員会議においてサービスの利用状況などを評価し、支援の必要性を判断の上、随時モニタリングを実施するものとする。

(実績報告)

第12条 支援チームは、市長に実績報告を行うものとする。

(認知症初期集中支援チーム検討委員会)

第13条 市長は、医療、保健及び福祉に携わる関係者等から構成される「認知症初期集中支援チーム検討委員会」(以下「検討委員会」という。)を設置するものとする。ただし、既存の委員会等の活用でも可能とする。

2 検討委員会では、支援チームの設置及び活動状況について検討し、当該活動を行う日常生活圏域を含む地域の関係機関、団体等と一体的に当該事業を推進していくための合意が得られる場となるよう努めるものとする。

(記録の保管)

第14条 訪問支援対象者等に関する情報、観察及び評価の結果並びに支援事業による支援の内容を記録した書類等支援事業に関する書類は、5年間保管するものとする。

(個人情報の保護)

第15条 支援事業に従事する者は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の規定等に基づき、訪問支援対象者等の世帯の個人情報及びプライバシーの尊重並びに保護等に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(普及啓発)

第16条 市長は、市民、関係機関、団体等に対し、支援チームの役割及び機能について広報活動、協力依頼を行う等、地域の実情に応じた取組を行うものとする。

(連携及び情報共有)

第17条 市長は、支援チーム、医療関係者、介護サービス事業者等と連携し、これらの相互の情報共有ができる体制を確保できるよう努めるものとする。

(その他)

第18条 この要綱に定めるもののほか、支援事業の実施に関し必要な事項は、市長が別に定める

この要綱は、平成29年12月28日から施行する。

(令和5年3月29日告示第28号)

この告示は、令和5年4月1日から施行する。

向日市認知症初期集中支援推進事業実施要綱

平成29年12月28日 告示第125号

(令和5年4月1日施行)