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第28回文化財保護審議会:会議録

更新日:2015年12月9日

会議次第

  1. はじめに
    1. 委嘱状交付
    2. 委員紹介
    3. 教育長挨拶
    4. 教育長及び教育次長・次長並びに事務局等出席者紹介
    5. 開催要件成立説明と事務局交替について
  2. 審議会
    • 議題(1)会長等選出・指名
      1. 会長選出
      2. 会長挨拶
      3. 会長職務代理者指名
    • 議題(2)向日市指定文化財の諮問について
      1. 諮問文提出
      2. 諮問物件
        • 諮問物件1 美術工芸品(古文書):鴫谷山山論裁許絵図、附「鴫谷鴨背両山絵図箱/寛文九年/己酉九月日/今里村・井内村・鶏冠井村・上植野村」墨書の絵図箱
        • 諮問物件2 民俗文化財:築榊講常夜燈
        • 諮問物件3 天然記念物(史跡):森本遺跡
      3. 答申について
    • 議題(3)文化財関係諸報告(平成18年度実績と平成19年度計画)
      1. 建造物の保存調査について
      2. 史跡長岡宮跡の公有化事業と保全活用について
      3. 宝菩提院廃寺遺構の現地案内板について
      4. 向日丘陵古墳群の調査経過等について
      5. 文化資料館の調査・展示活用について

会議録

事務局職員
ただいまから、第28回向日市文化財保護審議会を開催する。
それでは、委員の先生方への辞令交付を、先生方のご紹介を兼ねて行う。
《教育長から辞令交付・委員紹介》
続いて、教育長の奥村よりご挨拶申し上げる。
教育長
委員の皆様方には、ご多忙の中、快く委員を引き受けてくださり厚くお礼申し上げる。もっと早くにこの審議会を開催すべきであったが、都合により遅れたことをお詫びする。今後とも市として文化財の保護・普及に向けて取り組んでいきたいので、委員の方々のご指導をよろしくお願いする。 また長年、本審議会委員を務めておられた高野昌司氏が、平成17年9月30日にご逝去されたことを心からお悔やみ申し上げるとともに、ご冥福をお祈りする。 本日は3件の文化財について、向日市の指定文化財とするべく諮問させてもらう。また、長岡宮跡地について史跡指定及び公有化を進めているが、公有化できた跡地について3年かけて整備していきたいので、委員の方々のご指導よろしくお願いする。
事務局職員
《事務局職員の紹介》
《開会要件成立説明と事務局交替について》
それでは委員の先生方に、会長の選出をお願いする。
委員
事務局の方で、試案はないか。
事務局職員
前期に引き続き、和田委員でいかがか。
( 全員賛成 )
会長は和田委員が選出されたので、ひとこと挨拶をお願いするとともに、これからの議事進行をお願いしたい。
会長
前回から2年開催できずに申し訳なかったが、今後は年1、2回開催するようにしたい。前回開催以降の向日市の文化財保護の取り組みについての報告を聞き、課題等よく審議していきたい。
会長職務代理には、京都府文化財保護指導委員もされており、地元の文化財・民俗について熱心に取り組まれている、片山委員にお願いしたい。
それでは議題に移るが、向日市指定文化財の諮問について3件、事務局から説明願いたい。
教育次長
《向日市指定文化財の諮問文を読み上げ、会長に手渡す》
事務局職員
まず諮問物件1については、有形文化財の美術工芸品・古文書に分類され、現在、○○の所有である。全国的に山論が増加する江戸時代の寛文期にあって、近世の村落境界や山野の利用権が確立する過程を知る貴重な資料である。乙訓郡での、農民生活に必要な薪や炭、肥料などの確保について、上植野など山林を持たない地域と西山山地の関係を示す重要なものである。
諮問物件2については、有形文化財の民俗文化財に分類され、阪急東向日駅の南西にあり、現在も営まれている伊勢講のひとつである築榊講の所有の常夜燈である。全高4メートル64センチメートルと市内では類を見ない大きなもので、西国街道沿いの目印として地域の人々や西国街道を通行する人々にも親しまれてきた重要なものである。
諮問物件3については、史跡名勝天然記念物の史跡に分類され、現在、向日市立第3向陽小学校内に整備・保存されている。学校校舎の壁面に遺跡をイメージした絵画を描き、遺跡のある学校として授業にも取り入れられている。また、地元住民で組織された保存会の手により維持管理も行われ、学校と地域の住民が一体となって遺跡の保護と活用に取り組まれている。このように遺跡を通じて、学校教育はもとより地域愛を育む文化財として重要である。
以上が諮問物件の説明である。審議のほどよろしくお願い申し上げる。
会長
何か質問はあるか。
委員
諮問物件1であるが、17世紀のこのような村単位の絵図は数が少なく珍しい。
委員
この絵図の原本はないのか。
事務局職員
この絵図の原本は当初4カ所に下げ渡され、井ノ内と今里で交替で管理しており、その写しを上植野と鶏冠井で持っていた。しかし、その原本はすでになく、寛文9年よりかなり後の江戸中期以降に作成された写しの絵図が今里で残されているのみである。ただし地元では、これを元の原本と最も近い時代のものとして原本なみに扱っており、現在、長岡京市指定文化財となっている。
ところで、本市にある写しには、町奉行・所司代の部分には印ありとなっており写しであることは明らかだが、四か村での取り決めの部分について村役人の署名と押印があるので、寛文9年当時の写しと考えてもよいのではないか。長岡京市にあるものより古いと考えている。
委員
市指定文化財とすることについては結構なことだと思うが、指定した後、所有者に保存を任せて大丈夫なのか。指定する場合は、どうやって保存していくかも考えなければならない。
事務局職員
現在、文化資料館に寄託されている。
会長
文化資料館では保存にあたり、何か保護処置はとっているのか。
事務局職員
特別な処置はしていない。 他の古文書と同様の中性紙でおおい、専用の保存箱を作成し保管している。
会長
虫対策は大丈夫か。
事務局職員
虫駆除(燻蒸)については、文化資料館で定期的に実施している。
委員
博物館の収蔵物は、普通の部屋に普通にしまっておくといろいろなことが起きてくる。部屋自体に特別な保護処置ができなければ、桐のような保存に適したような木箱に入れるなどした方がよい。
このような貴重なものを文化財に指定ということは、市として子々孫々まで伝えるという意思表示なのである。よって責任を持って保存していってもらいたい。
教育長
その点について、よく努めて参りたい。
会長
逆に例えれば、貴重文化財で痛んでいる場合でも、積極的に市で指定してもらって、よりよい状態に補修し保存していけるようにしてほしい。
委員
どうしてもこのようなものについては劣化していってしまう。展示のための光だけでも紫外線で痛むし、カビや虫への対策が必要になってくる。密閉しておけばよいのではなく、定期的に、劣化してないか中を確認したほうがよい。
委員
市の指定文化財にすれば、市民に展示しなければならないわけで、それは劣化を促進することになる。古文書を展示するときに、透明のスクリーンを使ってあまり劣化しないようなシステムはないか。
委員
紫外線カット機能のあるガラスを使った展示方法はある。
委員
この機会に紫外線をカットするようなガラスを購入し、展示時に使用して、少しでも劣化を防ぐようにしてほしい。
会長職務代理者
文化資料館に古文書を読むサークルがあって、この古文書についても実際に見たことがある。このような古文書が市の指定文化財になることはうれしいことだ。そのような文化財を勉強するサークルの活用も考えてほしい。
会長
文化資料館には、他にも多くの古文書がある。これを機会に、文化資料館の文化財サークルの方々に、それらの保存状態を見てもらって、保存方法についていろいろアイデアを出し合ってもらったらどうか。
ところで諮問物件2については正式な実測図がほしい。作成することは可能か。
事務局職員
正式な実測図については、作成させてもらう。
なお、この築榊講にまつわる文書について、今年春に、文化資料館でまとめてもらって展示を行ったので、説明させてもらう。
事務局職員
昨年に文化資料館で、所有者である築榊講に関する文書を、所有者から預かり展示を行った。全部で273点の文書があり、小型の文書タンスに収納されている。これは持ち回りで保存されていたもので、作成された時代は江戸時代後期、文政9年からのものである。
内容としては、大正期の伊勢参りの旅の日記や、戦時下に、向日市域から勝山号という戦闘機を寄進するために寄付していること、終戦直前に時局が急迫しているため寄り合いを取りやめることなどである。
このように、非常に長い時代の間のことが、具体的に活動の様子がわかるような文書が出てきた。
ただ残念ながら、この中に常夜燈についての記述が見られない。
なお、常夜燈の前に通っている府道建設時の資料を確認したところ、一度常夜燈を解体して府道完成後に、常夜燈の位置を少し後ろにずらして組立てたとのことであるが、この常夜燈が建てられた天保13年4月から大きく場所は変わっていないとのことである。
会長
その文書も大変貴重なものではないか。
事務局職員
所有者である築榊講は現在も活動をしており、皆そろって伊勢参りへ行くことはないが、築榊講が持っている土地等の財産の管理を行っている。なお、文書は会長のところにある。
会長
文書は大切に保管されているのか。
事務局職員
大切に保管されているので、文化資料館で調査してほしいと言われた。
なお、文化資料館での調査結果を、築榊講で冊子としてまとめて講員に配布し後世に伝えていくとのことである。
委員
昭和初期に阪急京都線が開通したときに、競輪場方向への新しい道ができたとき、常夜燈を移転されたと聞いている。寺戸にも伊勢講がたくさんあったが、後継者がなくかなり減っている。
現存している築榊講は、田んぼなどの基本財産が多く残っており貴重な存在といえる。
委員
築榊講を管理していた○○家は西国街道に面したお宅か。
事務局職員
○○家は阪急京都線が開通するまで、常夜燈の前にお住まいだったが、現在はJR向日町駅付近に転居している。その家の主人が幼少の頃まで、常夜燈に家人が油で明かりを灯していたことを覚えているとのことである。
委員
常夜燈の周りに柵があるが、現在はどのような場所に建っているのか。
事務局職員
常夜燈の後方にはビルが建っているが、現在は道路ではなく築榊講自体の土地に建っている。周りの石製の保護柵は、新たに築榊講が建てられたものである。
会長職務代理者
常夜燈の説明写真に看板は写っているが、市指定文化財となれば指導のうえ、設置場所を移してもらったらどうか。
事務局職員
隣接する土地の所有者のこともあるが、考慮したい。
会長職務代理者
この場所は整備されてきれいになっている。ぜひ市の指定文化財にしてもらいたい。
会長
諮問物件3の森本遺跡についてはどうか。
事務局職員
学校建築時に発掘調査を行ったが、学校を建築するか遺跡を保存するかをめぐり、当時、保存運動も起こったようである。
しかしながら、建築当時は人口急増期であり、校舎を予定より北側に建築し、南側の中心遺跡を保存することになった。なお、建築当時は京都府教育委員会で遺跡整備し、向日市に管理通知があった。その後、市で2回遺跡整備を行った。
委員
ここは学校建設に伴う遺跡調査ということで、当時大変話題になった。学術的にも珍しい人面土器が発掘されたが、特にこの地で特徴的なのは、学校内に遺跡が保存と活用されていることだ。市の文化財保護行政にとっても、象徴的な保存と活用事例といえるので、価値のある遺跡だ。
もし市の指定文化財となれば、周辺にも広がっている遺跡をどのように保存していくかが課題になる。学術的に市の指定文化財とすることは問題がない。
事務局職員
現在、学校では社会科教室に、天井までの高さのある竪穴式住居を実物大で展示している。そして学校では、森本遺跡を授業にも取り入れており、遺跡が学校の象徴となっている。
委員
市の指定文化財とすることに異存はない。
会長
この遺跡は、他に指定を受けているのか。
事務局職員
この森本遺跡については、現在、史跡指定を受けていない。ただし、出土した人面土器についてのみ、京都府の指定となっている。
委員
ところで、国の指定史跡と、市の指定文化財との関係はどうなっているのか。
委員
国の指定史跡は、市では指定できない。
会長職務代理者
あまりオープンではない学校敷地内の遺跡を、市の指定文化財とする際、市民に対して定期的に公開するなど活用を考えてもらいたい。
事務局職員
現在、遺跡の前以外に小学校正門にも案内板を設置し、校外の方にも見てもらえるような対応をとっている。また、南側の道路から、フェンス越しではあるが、遺跡を見ることができるようになっている。
委員
位置図と、発掘時の遺構図は追加したほうがよい。
委員
今後、発掘の予定はないか。
事務局職員
この小学校の南側が、民有地でゴルフの打ちっ放し場となっており、現在のところ遺構が破壊される可能性が低いこと、現地へアクセス道路がないため、民有地を通っていかねばならず、発掘は考えていない。ただし、周辺に残る水田は、いずれ調査をしていくことを考えている。
委員
南側については、調査を延伸する必要性は今のところ感じない。ところで、水路は、地形からすると、藪に沿っていたのか、北側に延びていたのかだと思うが。
事務局職員
地形により水流は、北西方向から南東方向へ流れている。現在の石田川と同じになっている。発掘すると恐らく、弥生時代や縄文時代の遺物が出てくると思われる。縄文時代から現在まで川として流れていて、森本遺跡として発掘調査で検出した遺構は、その中の一時代のものと思われる。かつて、水路の北側には水田が、南側には住居が広がっていたものと想定している。
会長
森本遺跡は、西から東へ向けて傾斜する低位段丘が平野部にかわる台地の裾部に広がるというより、下部にあたるのではないか。
事務局職員
発掘調査を行ったのは、下部ではなく地形変換点である。
会長
下部は水田が広がっていたと思われるので、集落遺跡というより水田遺跡とした方がわかりやすいのではないか。
委員
指定地の対象地域はそうだが、森本遺跡全体を見れば集落遺跡と水田遺跡両方ということになる。
委員
森本遺跡というのは、どの範囲のことか。学校内の部分だけなのか、それとも周辺部分も入るのか。
事務局職員
周辺部分も含めた広域部分をさすが、指定文化財となるのは、小学校内の部分のみである。
会長
森本遺跡の全体の範囲と、指定しようとする範囲の図をつけてほしい。
委員
水田遺跡とするより、ただの遺跡でよいのではないか。
会長
水田遺跡が実際発掘されたわけではなく、推定されるだけなので、弥生時代の遺跡ということでよい。
今日委員の皆さんに指摘されたものについて、答申時に事務局は用意しておいてほしい。
委員
指定文化財になる部分について、どの方向に広がっているなどの説明文があれば、周辺に指定地が広がっていることがわかると思う。
委員
諮問物件1についてだが、古文書について貼り直されているとのことだが。
事務局職員
若干ずれていたので貼り直されたと推定される。
委員
文化資料館では無紫外線の蛍光灯を使っていると思うので、保存上問題はないものと考える。
委員
諮問物件1については、昔から野山といって、寺戸村も燃料にする薪を取るための山を、35町ほど持っていた。上植野と今里は隣村同士だったので、いっしょに野山を所有したのではないか。
なかなかよい古文書だと思う。
事務局職員
法務局での登記簿謄本によれば、上植野村での87名の共有となっており、所有権があることが明確になっている。
委員
相続問題が発生したときに、権利問題が複雑になるだろう。寺戸でも昭和48年に野山を10町処分しようとしたとき、権利問題について手続きが複雑であった。共有者の所在地を捜し出すだけでも大変だ。
委員
諮問物件2の築榊講の常夜燈について、民俗文化財ということなので、あくまで講自体が中心で、石塔や古文書は講を構成する要素のひとつだと思う。そうなると、古文書についても市指定文化財とすることを考えているのか。また、築榊講にとって、この常夜燈がどのように関わっていたのか、わかっていれば教えてほしい。
会長
講自体の古文書などの所有物や活動も、市指定文化財の対象になってくるのではないか。
事務局職員
今回、古文書については、土地の所有権に関する記述が含まれており、現在もその内容が活かされていることから、市指定文化財の対象とすることを控えさせてもらった。ただ、講としては古文書についても、今後、市指定文化財とすることを前向きに考えている。
会長
古文書を指定すれば、講にとっても使い勝手が悪くなるだろうから、常夜燈だけの指定でいいと思う。今後とも、古文書についても大切に保管してほしい。
ところで、江戸時代の古文書については、現在の保存状態はどうか。
事務局職員
比較的、保存状態は良好である。
委員
向日市内には、このような常夜燈は他にあるのか。
事務局職員
愛宕山へのお参りのための常夜燈はいくつかあり、天保年間と大正年間のものが多い。
会長
それらのものは、将来的には市指定文化財になる可能性があるのか。
事務局職員
特異なものについては、検討していきたい。
委員
人の身長より少し小さいくらいのものが、寺戸町にたくさんある。
ただ、これだけ大きいものはこれひとつだけだ。
委員
常夜燈は町内にひとつずつあって、火を灯して祭りを行い、小さな箱に木を通して、順番に火の用心で町内を回るという習慣があった。また、現在も愛宕講という講はあって、愛宕山へ1名が代参して樒を購入して町内に配り、12月23日に皆で愛宕山をお祭りする習慣が残っている。
会長職務代理者
市内全域の常夜燈があった位置を地図に落としてみると、おもしろいのではないか。
事務局職員
市内の石造物としては、既に指定している鶏冠井区・上植野区有文書の原本を、現在の地図に落としてみると、それぞれの村の入口には常夜燈があることがわかる。また、物集女公民館に、凝灰岩を転用したと思われる石塔がひとつある。
文化資料館にある市民グループによって、石造物の把握を進めているところである。
会長
諮問物件に関しては、これまでとする。
では議題3文化財に関する諸報告について、事務局から説明願う。
事務局職員
まず、上植野区の西国街道沿いにある○○家住宅について、所有者より当家の建物を国の登録文化財にしてほしいと連絡があった。そこで京都府教育委員会とともに調査を行い、登録申請を終えたところである。所有者は、対象家屋を保存整備している。また、1848年当時の古文書も残されている。母屋・内蔵・外蔵・長屋門など一体として、古文書どおり現存しており、西国街道沿いの旧家を表す代表的な事例といえる。
次に、長岡宮跡の土地買い上げについてだが、史跡指定の面積が1万平方メートルを超え、そのうち約90パーセントを買い上げることができた。平成18年度については1,014平方メートル、2億4,100万円の経費を使って公有化することができた。なお、これは借金でまかなっており、今後10年かけて返済していくことになっている。さらに、本年度、来年度とも2,000万円の予算を計上し、史跡指定地を買い上げていく計画である。なお、指定史跡地の所有形態について私有地が989平方メートルあるが、近年土地の値段が上がってきており、年間約100平方メートル前後のみの買い上げであるが、年数をかけて行っていきたい。
史跡指定地の整備については、仮整備も含めると約75パーセントを終えている。
ところで、西向日駅からわずか30メートルにある922平方メートルの土地と、以前から買い上げていた約2,500平方メートルの土地をひとつにまとめることができた。そこで、今年度から3,452平方メートルの史跡整備の工事を行う予定である。本年度は予算額1,200万円で、検出された遺構の保護盛土を実施し、来年と再来年で、国の補助金を得ながら遺跡整備をして活用を促進していきたい。
次に、宝菩提院遺跡の湯屋遺構の説明版を、新たに現地に設置したことを報告する。内容は発掘時の写真と、湯屋の位置は現在のどの位置にあたるか、日本で一番古い浴場跡の説明書きである。
そして、向日丘陵の古墳群についてだが、まず、元稲荷古墳については、平成18年度から、遺跡範囲確認のための発掘調査を実施して測量を行っており、19年度も引き続き発掘調査を行う予定である。今後はより広い範囲の測量を行っていきたい。五塚原古墳についても、今後、遺跡調査及び測量をすすめていきたい。寺戸大塚古墳については頂上部分で京都市と向日市にわかれているため、共同で調査を行っており、今年3月には京都市で調査を行った。
これらの調査結果をもとに、京都府・文化庁を交えて向日丘陵を含めた乙訓の古墳の重要性について、年1回協議をしているところである。
次に遺跡の活用計画についてだが、総合計画として駅と駅、文化資料館を基点の起点として、平野部の長岡宮跡、丘陵部の古墳群、その他の時代の遺跡や社寺について活用していきたい。
事務局職員
続いて、文化資料館の平成18年度・19年度の活動報告をしたい。
まず、平成18年度についてだが、向日神社についての特別展を開催した。向日神社の名前は、この地域の方々はよくご存じだと思うが、納められている文化財についてはほとんど知られていないこともあり、この特別展を通じてよく知ってもらうために、向日神社の多大な協力のもと開催した。開催期間は平成19年3月3日から4月8日までで、展示点数は231点であった。主な展示の内容は、六人部家の古文書・書籍・肖像画・絵図など、普段は一般には目に触れない貴重な資料を多数展示した。
また、関連事業として歴史講座、向日神社での現地案内、記念講演会、歴史ウォーク、職員の解説による展示案内を実施しました。
成果としては、展示を通して向日神社のもつ歴史性と、乙訓地域における重要な位置付けを認識してもらったと思う。
今後の課題は、向日神社所蔵の文化財について十分な調査ができず、展示に終始したことである。今後は公開だけではなく、調査や保存にも取り組みたいと考える。
続いて19年度の特別展について報告する。今年は、向日市立勝山中学校の前身である、乙訓高等小学校が開校して120年目にあたる。これを記念して、乙訓高等小学校の歴史を紹介する特別展を開催している。併せて、旧乙訓郡内全域の学校についても紹介している。旧乙訓郡は、今の乙訓郡、京都市西京区、南区、伏見区の一部を含む広範囲な郡域であった。戦後に新制の乙訓中学校となってからも、近年まで京都市域からの通学があり、広く年配の方々からも親しまれている。
本特別展では、当時の教科書・記録写真・映像など学校に関わる資料を展示し、近代から現在に至るまでの、乙訓地域の学校と教育の流れを振り返るものである。開催期間は11月3日から12月16日までとなっている。関連事業として、「映像で見る乙訓の学校」と題して、記録映画の上映会を行ったり、「記録で見る乙訓の学校」として職員による展示解説を行っている。
そして11月23日には「校歌を歌おうコンサート」と題して、旧乙訓郡内の尋常小学校の校歌や、応援歌を歌うコンサートを行う予定である。
入館者の中には年配の方が多く見られ、大変懐かしく見てもらっている。 委員のみなさまにも、ぜひ立ち寄って頂きたい。 以上で、文化資料館についての報告を終わる。
会長
以上の報告について、質問はないか。
委員
よく散歩するときに通りがかる寺戸大塚古墳は、見るたびに地形が変わっているような気がする。
会長
古墳の京都市側は、新たに土を入れているのか。
事務局職員
古墳のある前方部は私有地である。前方部の主体部は気をつけて守っていただいていると考える。また、京都市側の土地については、新たに土を入れて道路を作ろうとしたところ、止められて現在に至っている。そのため、正確な地形は読み取れない。なお、京都市側の所有者は京都市であり、竹林公園の一部となっている。
委員
史跡公園として完全なものとして復元したらよいと思う。過去に発掘を行い、南側の隣地との境界の部分で石垣が出土されたところは、土をとらないでそのままにしてある。
会長
できるだけ早く話が進んでいけばと思う。
事務局職員
古墳の真ん中に市境があるのが問題だ。京都市側は、竹林公園として約2万平方メートルをほぼ1筆で合筆してしまったので、史跡指定となったときの面積を計算するのが苦しいので、今後の方向性を探るべく今年3月から調査を行っている。
その結果、テラス部分には埴輪がはっきりと残されているのがわかった。
会長
京都市と共同で調査を始めた今、古墳整備のチャンスだと思う。
会長職務代理者
現地にできた宝菩提院廃寺の説明版のことだが、宝菩提院廃寺があったという記憶が消えつつあった今、とてもうれしく思う。ささやかな説明版でも、ここに湯屋があったということを広報していくことが大切だ。
今後とも、遺跡についてのさまざまな意見を反映していただけるように願う。
今日の審議会で史跡指定の話もでたが、そのような話をすることによって、意識が変わって実現へ近づいていくと思う。
会長
教育委員会が文化財保護について、たえず活動をしていることを広く知ってもらわなければいけない。
これにて、文化財保護審議会を閉会する。
事務局職員
本日はこれにて閉会する。
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