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本法華経(ほけきょう)は、応永元年(1239年)に没した天台座主尊性法親王(てんざいざすそんしょうほっしんのう)の追善のために作られた版本供養経で、法親王生前 の自筆消息をつなぎ合わせて料紙とし、紙背に法華経(開結共)十巻を摺写(しゅうしゃ)しています。本法華経はもとは各品一巻に装幀された一品経で、表紙外題や各品 内題、版式の差異、料紙の状態などによって、原状は法華経二十八巻、無量義経三巻、観普賢経(かんふげんきょう)一巻の三十二巻本であったことが判明しています。紙、背の消息はおよそ117通、親王が天台座主であった寛喜年間から嘉禎年間に至る間を中心としたもので、その内容は、法親王の地位を反映して朝廷の趨勢、比叡山を中心とする社寺の動向などを伝え、かつ物語絵巻、絵師などに関する文芸史料も含まれています。また、本法華経は、鎌倉時代末に鶏冠井村に日蓮宗を伝えた日像が宮中から下賜されたものを、鶏冠井村民に信仰の証しとして授与したものです。
昭和54年(1979年)6月6日に、国の重要文化財に指定されています。
鶏冠井町大極殿・鶏冠井町御屋敷
南真経寺(鶏冠井町大極殿)・北真経寺(鶏冠井町御屋敷)