更新日:2021年1月5日
橋梁は長い年月の間、自動車などの荷重を受け続けることにより、痛みが生じます(外力による劣化・損傷)。また、コンクリートや鉄などの橋梁の材料も永久的なものではなく、自然に劣化します(経年劣化)。道路管理者は、これらの劣化や損傷を、できるだけ未然に防ぐと同時に、維持管理に要するコストを引き下げることが求められております。
現在、多くの研究などの成果から、修繕などの対策は、劣化や損傷が初期の段階で行うことがより効果的で、かつ経済的であることが明らかとなっております。これは、人の健康管理に非常によく似ています。このため、「悪くなってから治す」という事後的な修繕や架け替え(事後対応型)ではなく、人の健康診断と同様に、橋梁を定期的に点検し、劣化や損傷を初期段階で発見し、予防的措置をとることが、維持管理のコストを引き下げるだけでなく、道路を利用されている方々が安心して、安全に道路を通行できることにもつながります。
このことから、橋梁の点検や修繕方法や時期などについての方針を定めたものが橋梁長寿命化修繕計画です。
道路管路者:道路法で定められた道路(高速道、国道、都道府県道、市町村道)の新築や維持・修繕等を行う者を道路管理者といいます。
本市では、市長が向日市道(橋梁や地下道等も含める)の道路管理者となります。
橋梁の建設後の経過年数
20年後向日市の橋梁は殆ど50歳を超えます。橋梁の高齢化社会を迎えます。
本市は、現在、橋梁の長さが2メートル以上ある90の橋梁を管理しています。これらの橋梁は、重要路線や災害時の避難経路、通学路に架設されているなど、地域間を結ぶ重要な道路構造物であることから、すべての橋梁を対象として、橋梁長寿命化修繕計画を策定しました。
本市が管理している90の橋梁の分類は、以下のとおりであります。
2. 橋長(橋の長さ)による分類
15メートル以上 | 0橋 |
---|---|
10メートル以上~15メートル未満 | 1橋 |
5メートル以上~10メートル未満 | 21橋 |
2メートル以上~5メートル未満 | 68橋 |
3. 点検結果による分類(平成23年度実施)
調査結果(桁) |
調査結果(床版) | 調査結果(下部工) | 調査結果(支承) | 調査結果(路面) | |
---|---|---|---|---|---|
a:健全 | 54 | 87 | 39 | 90 | 65 |
b:軽度の損傷 | 1 | 1 | 23 | 0 | 25 |
c:予防的修繕が必要 | 35 | 2 | 28 | 0 | 0 |
d:補修が必要 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
e:さらなる補修が必要 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
合計 | 90 | 90 | 90 | 90 | 90 |
上表は、平成23年度に実施した点検調査の結果を取りまとめたものであります。この中で、dおよびeランクの損傷は確認されていないことから、本市が管理する橋梁は比較的健全であることを示しています。
橋梁点検による主桁、床版、下部工および路面の損傷例
本市が管理している橋梁の中で、建設後30年以上経過した橋梁は、全体の約81パーセントを占めているため、近い将来、集中して架け替えや修繕時期を迎えることが予想されます。そこで、計画的かつ予防的な修繕対策を実施することで、橋梁の寿命を100年間とすることを目標とし、修繕および架け替えに要するコストを縮減します。
本市が管理している橋梁90橋について、今後50年間の維持管理に関する事業費を比較すると、従来の事後対応型が約13億円に対し、長寿命化修繕計画の実施による予防保全型が約5億円となり、コスト縮減効果は約8億円であると見込んでおります。
本計画に基づいて、橋梁の点検や維持修繕などを繰り返し行うことにより、経済的かつ合理的に橋梁の長寿命化を図り、今後とも安心・安全な道路環境が維持できるよう努めてまいります。
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